ラ・フォル・ジュルネ東京2019最終日
2019年5月5日、ラ・フォル・ジュルネ東京2019の最終日。私は今年のラ・フォル・ジュルネ東京で18の有料コンサートを聴いた。これで、2005年から現在まで、東京のほか、フランスのナント、びわ湖、鳥栖のすべてのLFJを合わせて合計508のコンサートを聴いたことになる。昨日(5月4日)に500回目のコンサートを達成したのだった。
今日の感想を簡単に記す。
・リディヤ・ビジャーク&サンヤ・ビジャーク(ピアノ・デュオ)
リヒャルト・シュトラウス交響的幻想曲「イタリアから」op.16(連弾)
オーケストレーションの名手シュトラウスのピアノ連弾版なので、シュトラウスのオーケストレーションに痺れる私は少々とまどった。シュトラウスの一番いいところがない! そのためもあって、前半やや退屈した。が、後半は、ビジャーク姉妹の驚くほどに息のあった音の洪水が押し寄せ、フニクリフニクラの陽気なメロディに乗って高揚して終わった。
・戸田弥生(ヴァイオリン) アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ)
バルトーク「ルーマニア民俗舞曲」、バルトークのヴァイオリン・ソナタ第1番
素晴らしい演奏。最初の音から聴くものをひきつける。民俗舞曲ではあるが、楽しく愉快な踊りと言うわけではなく、その民族の苦悩や歴史がこもった舞曲。戸田さんの演奏はそれをひしひしと感じる。音ひとつひとつに真剣な表情がある。エル=バシャのピアノも実に知的で明確でしっかりヴァイオリンを支える。
バルトークのソナタ第1番はもっと凄かった。凄まじい集中力によってヴァイオリンの音が出てくる。無為の中に一つの剣を浴びるように音楽が響く。
戸田さんの演奏を聴くたびに私は往年のヴァイオリニスト、シゲティを思い出す。シゲティはバルトークとも親交があった。シゲティのものすごい集中力、そこから出てくる魂をわしづかみにする音。戸田さんのヴァイオリンの音も同じような力がある。圧倒された。
・リオ・クオクマン指揮 ウラル・フィルハーモニー・ユース管弦楽団、
ドヴォルザークの交響曲第9番 ホ短調 op.95「新世界 より」
オケは若い女性が3分の2を占めそう。弦楽器と木管楽器はほとんどが女性。ウラルフィルユースだが、本家夜もむしろ音がスマートで、私としては好感を持つ。しかし、指揮者はずっと全力投球。あまりに一本調子。それなりにオケをコントロールしているが、ニュアンスが生まれない。慌ただしいだけになる。
・梁美沙(ヴァイオリン)、ジョナス・ヴィトー(ピアノ)
ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番、ドヴォルザークのヴァイオリンとピアノのためのソナチネ
梁美沙の演奏はこの数年間、ラ・フォル・ジュルネで聴いて、とても素晴らしいと思っていた。思い切りがよく、音に表情があって、生き生きとしている。ところが、ブラームスのほうは、かなり普通の演奏だったので、ちょっとがっかり。が、ドヴォルザークのほうはとてもよかった。生き生きとした表情が生まれ、躍動感が出てきた。こんな感じでブラームスも聴きたかった!
・ニキータ・ボリソグレブスキー(ヴァイオリン) ゲオルギー・チャイゼ(ピアノ)
イザイ「マズルカ」第1番、ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ、エネスクのヴァイオリン・ソナタ 第3番
素晴らしい演奏!まずボリソグレブスキーのテクニックが圧倒的。軽々ととてつもない難曲を弾きこなす。熱することなく、情熱を表に出すことなく、きわめて正確な音程で怜悧バリバリと弾く。しかし、きわめて繊細で美しい音なので、そこに魂がこもる。凄いヴァイオリニストだと思った。ピアノのチャイゼも同じ雰囲気。テクニックは見事だが、とても繊細。二人が見事な世界を作り上げた。
ラヴェルのソナタの軽妙でありながら、きわめて真摯な音楽をうまく表現していると思った。韜晦というべき奥深い精神が、この若い演奏家たちから確かに浮かび上がる。絵ネスクのソナタもおもしろかった。この曲は何度か聴いたことがあったと思うのだが、これまであまり印象に残らなかった。が、今回聴いてみると、これはとてつもない曲だ。
・トリオ・カレニーヌ(ピアノ三重奏)
シューベルト「ノットゥルノ」 シューベルトのピアノ三重奏第2番
トリオ・カレニーヌは3日のコベキナのチェロを伴奏したパロマ・クーイデルがピアノストを務めるトリオだ。素晴らしい演奏だった。ピアノ以外の楽器も素晴らしい。とてもいいトリオだと思う。ただ、私はシューベルトの室内楽曲のいくつかを大変苦手にしている。これもそのタイプの曲だった。あまりに長たらしいと思ってしまうのだ! 同じことを何度も繰り返し、これで終わりかと思うとまた前に聞いたメロディが出てきて、同じことが続く。私は、「とりとめがない」と感じて、いらいらしてくる。私はてきぱきと論理的に展開される曲が好きなのだ! シューベルトの全部の曲が嫌いなわけではないのだが、やはり今回は少々イライラした。
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