ネルソンス+ゲヴァントハウス管 意図はわかる気がするが、感動しなかった
2019年5月27日東京文化会館でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートを聴いた。指揮はアンドリス・ネルソンス、曲目は前半にバイバ・スクリデのヴァイオリンが加わってショスタコヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番、後半にブラームスの交響曲第1番。ゲヴァントハウス管弦楽団はよく言われるドイツ的な音といってよいのだろう。誠実で深みがあって実に美しい。
ショスタコヴィチの協奏曲に関しては、もちろん悪い演奏ではないと思う。スクリデは誠実に音楽を作ってゆく。誇張のない的確な演奏。ただそういう演奏だと、ショスタコヴィチ特有の狂気に至るまでの心のざわめきが表現されない。正確でしっかりした音楽なのだが、それだけで終わった気がする。
ヴァイオリンのアンコールはヴェストホフというバロック時代の作曲家の「鐘の模倣」という無伴奏ヴァイオリン曲。これも同じ印象。誠実で的確だが、少なくとも私はあまり感動しなかった。
後半のブラームスについては、かなりの力演。ネルソンスはゆっくりと、しかも重くなりすぎずに鳴らして、スケール大きく音楽を構築していく。第2楽章はとりわけ独特のフレージングの取り方をしてしなやかに歌わせようとする。第3楽章では木棺を際立たせ、第4楽章では全体が収束していくように構築する。間を持たせ、タメをつくって、ダイナミックにしようとする。
ただ、ネルソンスの意図はわかる気がするが、それが完全にうまくいっているかというと、そうでもないのではないかと思った。びしりと決まっていかない。第1楽章の始まりのゆったりしたテンポも、そこから出てくる音にあまり説得力を感じなかった。とはいえ、第4楽章の終盤はさすがに盛り上がった。
アンコールはメンデルスゾーンの「ルイ・ブラス」序曲。この演奏はこの日、最もよかったのではないか。メンデルスゾーンにしてはちょっと無駄の多い曲だと思ったが、オーケストラは素晴らしい音でアンサンブルも見事。ブラームスではスケールを大きくしようとしているのが感じられたが、アンコールではそのようなことはなく、ひきしまっていた。
このオーケストラはブロムシュテットやシャイーでこれまで何度か聴いて深く感動した覚えがある。もちろん、50年ほど前からレコードやCDでも随分と名演を聴いてきた。が、残念ながら、今回はこれまで程の感動を得ることができなかった。ちょっと残念。
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