ラ・フォル・ジュルネ東京2019 二日目
ラ・フォル・ジュルネ東京2019、二日目の感想を書く。
・辻彩奈(ヴァイオリン)、ジョナス・ヴィトー(ピアノ)。
サン=サーンス「序奏とロンド・カプリツィオーソ」、フランクのヴァイオリン・ソナタ
「序奏とロンド・カプリツィオーソ」も素晴らしかった。気迫のこもった激しい音。運命を叩きつけるように、音を出す。そして、躍動。若々しいが、音に表情があるので、深みを感じる。
次にフランクのソナタ。
フランクのソナタは私の最も好きなヴァイオリン曲なので、もちろんこれまで実演、録音を合わせて数百を聴いてきた。今回の演奏はその中でも最上の演奏の1つだった。
第1楽章はゆったりとスケール大きく。そして第2楽章で爆発する。その後はロマンティックな気分が高まり、大きなドラマを作ってゆく。ピアノもいいが、何といってもヴァイオリンが見事。うねり、高まる。弓を大きく使って聴くものまでも揺らす。感動した!
・ミシェル・ダルベルト(ピアノ)、モディリアーニ弦楽四重奏団により、プッチーニの弦楽四重奏曲「菊」、フランクのピアノ五重奏曲 ヘ短調
プッチーニの曲については、よくわからなかった。アリアのようなメロディを弦楽四重奏で、しかもただ和音を重ねるだけで演奏。それだけで終わった。
フランクの五重奏曲については、見事な演奏。ダルベルトの強い音が全体にアクセントをつけ、ぐいぐい音楽を進めていく。モディリアニもアンサンブルが完璧で流動性があり、静かに必然的に音楽が進む。
実は、フランクのソナタや交響曲は大好きだが、ピアノ五重奏曲は録音を何度か聴いて、おもしろいと思ったことがなかった。が、今回聴いて、とてもいいと思った。やはり、ソナタや交響曲と同じ盛り上げ方。納得できる。
・マリー=アンジュ・グッチ(ピアノ)
スクリャービンのピアノソナタ第5番、ブゾーニの「インディアン日記」第1巻、ラヴェルの組曲「鏡」から「海原の小舟」、サン=サーンスの「6つのエチュード」「ラス・パルマスの鐘」、ピアノ協奏曲第5番「 エジプト風」によるトッカータ
今回のエルメスとグッチ(ただし、綴りは、nguci)はぜひ聴くべきだと勧められて、ふだんピアノを聴かない私も足を運んだ。想像以上の凄さ。音が生命を持って自在に動いているかのよう。どんなに速いパッセージになってもまったく音が乱れない。粒立ちのきれいな音がしなやかに、そして強靭に音楽世界を描いていく。
・アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ)、タタルスタン国立交響楽団、アレクサンドル・スラドコフスキーの指揮で、サン=サーンスの「アルジェリア組曲」、サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」
最初の曲は初めて聴いた気がする。あまりおもしろくなかった。ただ、オーケストラはしっかりしている。とてもよい演奏だと思う。ピアノ協奏曲については、エルバシャのテクニックと音楽性に圧倒されっぱなし。
・アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
ヘンデルの「調子のよい鍛冶屋」ホ長調 HWV430 (ハープシコード組曲第5番から)、スカルラッティのソナタ ホ長調 K.531、ソナタ ロ短調 K.27、ソナタ ニ長調 K.145、ソナタ ニ短調 K.32 。
ケフェレックのスカルラッティはやはりとても優雅で繊細。モーツァルトと同じような哀しみ、喜びが静かに現れる。ケフェレックのお人柄そのものが演奏に現れて、それがスカルラッティの時代の風雅さに通じる。素晴らしい演奏だった。
・ジェラール・コセ(ヴィオラ)、アキロン・クァルテット
ドヴォルザークの弦楽四重奏のための「糸杉」から「、ドヴォルザークの弦楽五重奏曲第3番 変ホ長調 op.97
アキロン・クァルテットは若い女性ばかりの団体。そのなかにひとりコセが加わる。これもとても良い演奏だった。見事なアンサンブル。弦楽五重奏曲第3番は初めて聞いた気がする。第3楽章にはまるで日本の「ウサギ追いし」のようなメロディが出てくる。それをこの5人はアンサンブル豊かに、そして情緒もしっかりと示して歌いあげる。女性ばかりのアンサンブルに男性が入って、きっと良い効果があったと思う。
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