「ハチャトゥリアン・コンチェルツ」 まとめて聴けて満足
2019年6月28日、みなとみらい大ホールで神奈川フィルハーモニーによる「ハチャトゥリアン・コンチェルツ」を聴いた。池辺晋一郎氏の企画で、ハチャトゥリアンのチェロ協奏曲ホ短調とピアノ協奏曲変ニ長調とヴァイオリン協奏曲ニ短調の合計3つの協奏曲が演奏された。指揮は川瀬賢太郎。ゲスト・コンサートマスターは豊島泰嗣。
私は特にハチャトゥリアンが好きなわけではない。半年ほど前、ジョージアとアルメニアを旅行することにして、はてこれらの国にはどんな出身者がいるんだったかと調べた時、最初に出てきたのがジョージア生まれのアルメニア人であるハチャトゥリアンだった。そんなときにこのコンサートが開かれるのを知ったのだった。
最初に石坂団十郎のチェロが加わってのチェロ協奏曲。これを聴いた時点では、実は少々退屈だった。とても鮮烈な演奏であり、石坂団十郎はとても素晴らしいチェリストだとはよくわかったのだが、そうはいっても曲自体がつまらないと思った。なじめないメロディで、なんだかよくわからない展開だと思った。
が、佐藤卓史のピアノが加わってのピアノ協奏曲はとてもおもしろかった。チェロ協奏曲と違って躍動があり、爆発があり、民族舞踊的な高まりがあった。佐藤のピアノのはじけ具合もとてもよかった。川瀬の指揮も佐藤のピアノもきわめて正統派だと思う。派手すぎることはしない。音楽を崩さない。だが、池辺さんがプレトークで語っていた通り、「ハチャトゥリアンの音は一つ一つが生きている」。
郷古廉のヴァイオリンが加わってのヴァイオリン協奏曲もよかった。この曲は何度か聴いたことがある。これも同じように、誇張することなく、音楽を崩すことなく、正当にしっかりと、しかしそうであるが故に生き生きと音楽を展開させる見事な演奏だった。郷古の音楽性もとてもよく分かった。
とはいえ、やはり私にはハチャトゥリアンの曲は退屈だと思わざるを得なかった。いろいろな音楽が上滑りに通り過ぎていく。やはり、ショスタコーヴィチやプロコフィエフの曲のほうがずっとおもしろい。
ただ、ちょっと思ったのは、もしかしたら、ハチャトゥリアンの曲というのはもっとねちっこく、もっと悲劇的なのではないかということだった。アルメニアで2、3日過ごし、アルメニア人のガイドさんの話を聞いたところでは、アルメニア人はもっと思い入れたっぷりでもっと怨念を持ち、もっと悲劇的な感性を持った人たちのようだ。そのような演奏だったらもっと退屈しないで聴けるのではないかと思ったのだった。
ともあれ、ハチャトゥリアンの協奏曲をまとめて聴くことができて満足。
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コメント
>もしかしたら、ハチャトゥリアンの曲というのはもっとねちっこく、>もっと悲劇的なのではないか
その通りだと思います。
「交響曲第3番」をご存知でしょうか
https://www.youtube.com/watch?v=Qb-Q7eGLLXg
協奏曲で感じられたハチャトゥリアンの印象を覆すに足る曲だと思います。
投稿: 内藤 | 2019年6月30日 (日) 11時25分
内藤様
お教えくださり、ありがとうございます。アルメニア・フィルのCDを購入して、交響曲第3番を聴いてみました。あっと驚く曲ですね! 一度なまで聴いてみたくなりました。最初にこれを聴くと、ハチャトゥリアンをまったく違った作曲家と思っていたことでしょう。
投稿: 樋口裕一 | 2019年7月 5日 (金) 22時22分