菊本・竹島・新居によるディスカバリー・ナイトを楽しんだ
2019年6月12日、サントリーホール ブルーローズでのチェンバーミュージック・ガーデン2019の一つディスカバリー・ナイトⅡを聴いた。演奏は、菊本和昭(トランペット)、竹島悟史(パーカッション)、新居由佳梨(ピアノ)。曲目は、前半に菊本と新居によりイウェイゼンというアメリカの現代作曲家のトランペット・ソナタと、竹島と新居によるクレストンというこれまたアメリカの現代作曲家によるマリンバ小協奏曲、後半に、菊本と竹島によるジョリヴェのトランペットと打楽器のための『エプタード』、三人によるプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」より(竹島悟史編曲)。
とてもおもしろかった。予想以上におもしろかった。
三人の名人芸に圧倒された。菊本のトランペットの神業にまず驚いた。室内楽としてトランペットを聴いたのはたぶん初めてだろう。様々な音色を出せる楽器だと初めて知った。機敏に動き、音程もいいし、リズムもいい。竹島のパーカッションも圧倒的。マリンバがとても良いと思ったが、ほかの楽器も見事。ジョリヴェの曲では、周囲にいくつもの打楽器を並べての演奏。よくもまあこんなたくさんの楽器を間違わずに叩けるものだ!という極めてプリミティブな驚きを覚えた。そして、新居のピアノの色彩的で繊細な音にも聞きほれた。
私がこのコンサートを聴きたいと思ったのは、新居さんが演奏家の一人に加わっているからだった。多摩大学のゼミでコンサートを企画していたころ、新居さんに何度も参加していただき、素晴らしい演奏を披露していただいた。ショパンの曲や池田香織さん、飯田みち代さん、三宅理恵さんの歌の伴奏も素晴らしかったが、何といってもラヴェルの「ラ・ヴァルス」のあまりの色彩的で華麗でダイナミックでしかも繊細な演奏は今も耳に残っている。新居さんの活躍を聴きたいと思って足を運んだのだったが、予想通りの、いや、大変失礼ながら、それ以上に素晴らしい演奏だった。出しゃばらず、しなやかに、しかししっかりと派手な楽器を支えている。フランス音楽のような繊細な雰囲気が生まれ、色彩感が増す。新居さんのピアノの支えがなかったら、こんな素晴らしい演奏にならなかっただろう。
どの曲も大変面白かった。豊穣な音に痺れた。満足。
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