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またまたリムスキー=コルサコフのオペラ映像「皇帝の花嫁」「サルタン皇帝の物語」「金鶏」

 風邪気味のため、大事をとってこの数日、自宅でごろごろしていた。行く予定だったコンサートも2本、キャンセルした。重症というほどではないが、喉の痛みがひどかった。数年前、同じような痛みを感じて、声がまったく出なくなったことがあったので警戒したのだった。東進の収録授業など、声が出なくなると仕事にならない。そうなると、ほかの人にも迷惑をかけてしまう。ともあれ、やっと全快しつつあるようだ。

 その間、リムスキー=コルサコフのオペラ映像を3本みたので、簡単に感想を記す。改めて、リムスキー=コルサコフのオペラ作曲家としての実力に驚嘆した。

 

「皇帝の花嫁」 映画版 1964年 ソ連

 V.ゴリッケル監督による映画。モノクロでモノラル。俳優が出演し、歌手が歌っている。エフゲニー・スヴェトラーノフの指揮によるボリショイ劇場管弦楽団の演奏。

 音質はよくない。ノイズもかなり入る。カットされている場面もかなりありそう。だが、全体的にとても感銘を受けた。音楽が面白いし、ストーリーもおもしろい。歌手もそろっている。俳優が演じているので、役割的にもぴったりで、ぐいぐいと引き付けられる。映像も美しく、演技にも説得力がある。改めてこのオペラが名作であると確信する。

 

リムスキー=コルサコフ 「サルタン皇帝の物語」1978年 ドレスデン国立歌劇場

 ドイツ語ヴァージョン。1978年の公演記録だから、現在のレベルからすると、映像も音響も少々粗い。カットも多いと思う。だが、このような記録があるだけありがたい。

 演奏のレベルはかなり高い。出演は、リディア・ルシンスカヤ、ロルフ・ヴォーラートなど。指揮はジークフリート・クルツ(何の曲だったかまったく覚えていないが、かつて私は来日公演で、この人の指揮を聴いたことがあるはずだ。無名の指揮者のわりにとても良いと思った記憶がある)。ハリー・クプファーの演出もおもしろい。メルヘン性を強調し、漫画的に話が展開する。ただ、この映像には、英語を含めていかなる字幕もない。久しぶりに字幕なしのオペラ映像をみた気がする。しかし、漫画的な表情をしてくれるので、大まかなストーリーを知ってみれば、ありがたいことに、ほぼ何が語られているかわかる。

 

「金鶏」 2002年 パリ・シャトレ座

 ケント・ナガノ指揮、市川猿之助(三代目)演出、パリ管弦楽団、マリインスキー劇場合唱団による上演。歌舞伎風の衣装、演出。猿之助だけでなく、高島勲、朝倉摂などの有名な日本人スタッフの名前が並ぶ。猿之助のオペラ演出は、「影のない女」(実演をみた。とてもおもしろかった)以来、2本目。

 これは異界のオペラであり、とりわけ占星術師やらシャマハの女王やら金鶏やらの得体のしれない存在が登場するので、キモノふうの衣装、歌舞伎風の化粧というのはよいアイデアだと思うのだが、この上演から15年以上たった現在から見ると、やはりこの演出は「やりすぎ!」であり、まさしくキワモノと感じざるを得ない。

 異界の数人のみが歌舞伎風の衣装だったらわからないでもないが、合唱も含めた登場人物全員がこのような衣装では、大仰すぎる。舞台が大層なものになって、軽みがなくなってしまう。もしかしたら、指揮、演出ともに、重々しくおどろおどろしい世界を目指したのかもしれないが、そうすると、私にはこのオペラの最大の魅力がなくなってしまうと思われる。

 指揮についても、私は何をしたいのかよくわからなかった。もっと軽快でもっと諧謔的でよいと思うのだが、妙に重い。どういう意図があるのだろう。

 歌手についてはとてもよかった。とりわけ、占星術師のバリー・バンクスとシェマハの女王のオルガ・トイフォノヴァが素晴らしい。見事に異界の存在を歌っている。ドドン王のアルベルト・シャギドゥリンも見事。

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