プラッソン+新日フィルの「幻想」 美しく奏でられる美しくも狂気をはらむ音楽
2019年10月28日、トリフォニーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴いた。指揮はミシェル・プラッソン、曲目は前半にシャブリエの「スペイン狂詩曲」とバンドネオンの小松亮太が加わってのピアソラの「バンドネオン協奏曲」、後半にベルリオーズの「幻想交響曲」。素晴らしい演奏だった。
まず、シャブリエの音楽が始まって、フランス的でしなやかで精妙なアンサンブルに心惹かれた。リズムもいいし、音楽に流動が素晴らしい。うきうきした。
バンドネオン協奏曲もおもしろかった。バンドネオンの生の音を初めて聴いた。マイクを並べていたが、やはりこれは大ホールで演奏するのは辛い気がする。第三楽章をアンコール演奏。
とはいえ、後半の「幻想」がやはり圧倒的にすごかった。
あまりおどろおどろしくない「幻想」。精妙に始まり、徐々に盛り上がっていく。緻密に組み立てられ繊細な音楽によって美しく奏でられる美しくも狂気をはらむ音楽。リズム感が素晴らしい。まったくゆるぎない。ピタッと決まってひたひたとドラマが盛り上がる。
私は「幻想」を聴くとき、第3楽章がどうしても気になる。第1・2楽章は誰が演奏してもおもしろい演奏になる。だが、第3楽章はよほどの演奏でないと、退屈してしまう。よほどの演奏であっても、しばしば退屈する。だが、今回、不安をはらみながら徐々にドラマが進行し、盛り上がっていく。その様子がとてもよく分かった(専門家なら、スコアを見て説明するところだが、残念ながらその能力がない)。第4・5楽章は大きく盛り上がり、狂乱の音楽が繰り広げられるが、リズムに揺るぎがないので、高貴さを失わない。だが、バタバタしていないだけにいっそう凄味がある。
プラッソンは素晴らしい指揮者だと改めて思った。感動した。
ところで、トリフォニーホールは好きなホールなのだが、今日はちょっと参った。隣の席にかなり大柄な人がいて、しばしば身動きする。かなり大きな身動きをする。音楽に合わせて体を揺らしたり、身を乗り出したり。すると、そのたびに席が揺れる。気になって仕方がなかった。
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コメント
この公演は聴けませんでしたが、昨年フランクの交響曲をプラッソンが新日本フィルを指揮したときに感じた自分のイメージとかなり重なるものが樋口さんのそれから感じられました。
本当に素晴らしい指揮者だと思います。次期シリーズもぜひ客演してほしいです。できれば十八番のマニャールを聴いてみたいです。
投稿: かきのたね | 2019年9月30日 (月) 23時34分
かきのたね 様
コメント、ありがとうございます。
おっしゃる通り、プラッソンは素晴らしい指揮者ですね!
マニャールは、私はプラッソンのフランスオペラ集の「ゲルクール」を聴いただけですが、確かに交響曲を聴きたいものです。十八番とは知りませんでした!
投稿: 樋口裕一 | 2019年10月 3日 (木) 09時20分