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トリエステ・ヴェルディ歌劇場公演「椿姫」を楽しんだ

 20191028日、武蔵野市民文化会館でトリエステ・ヴェルディ歌劇場公演「椿姫」をみた。イタリアでの日常的なレベルの公演だと思う。十分に楽しめた。

 今年の来日公演ではランカトーレが歌うと聞いていたので、期待していたのだが、武蔵野では若手中心の公演だったのだと思う。ヴィオレッタを歌ったのはジェシカ・ヌッチオという歌手だった。容姿も見栄えがして、声もきれい。ただ、第1幕・第2幕は力み気味で声のコントロールが少し甘かった。第3幕で、重い病のヴィオレッタになってから、声が透明になって素晴らしかった。初めからこのくらい力を抜いて歌うほうがよかったと思った。

 アルフレードのジュリオ・ペッリグラとジェルモンのイタロ・プロフェリーシェも同じような感じ。若手なのだと思う。声はとてもきれいなのだが、ちょっと歌が堅かったり、コントロールがほんの少し甘かったり。要するに、超一流の一歩手前にいる歌手たちなのだろう。あと少しすると、だれもが知る大歌手になるのかもしれない。

 私はむしろ、オーケストラとジャンルカ・マルティネンギの指揮と合唱に、少し物足りなさを覚えた。かなり大味で、びしりと音が決まらない。オーケストラに関しては、弦はとてもきれいだと思ったが、木管楽器がちょっと繊細さに欠ける気がした。指揮については、もう少しドラマを盛り上げたり、情感をかきたてたりしてほしいと思った。演出はきわめてオーソドックス。今まで何度も見てきたのと大差ない舞台。もう少し工夫がほしいと思う。

 というように、世界の名舞台と比べると、少々物足りないレベルの公演だった。とはいえ、これがイタリア国民が日常的にみているレベルのオペラ公演なのだろう。これをこれくらいの料金でみられるのは、やはりとてもうれしい。

 ところで、実は、終演後、私は事務室に行って抗議をしたのだった。

 端の席に座った客が、通路に大きくはみ出して荷物を置いていた。通路の半分近くを荷物が占めていた。このホールは圧倒的に高齢者が多い。杖をついて歩く人、腰の曲がっている人、家族の手助けで歩く人が大勢にいる。もしかしたら80歳以上の客が数百人来ておられるのではないかと思う。それなのに、通路に荷物があってはとても危険だ。特に、暗いうちに歩いたりしてつまずいたら、大変なことになる。しかも段差があるので、勢いがついてしまう。

 私が自分で荷物を置いている客に注意しようかと思ったが、以前、同じようなことがあったとき、係の人に言うと、「私たちが注意しますので、お客様はそのままでいてください」と言われたのを思い出した。そこで、私は休憩時間にスタッフの方にその旨を報告して、危険なので荷物をどかすように注意してほしいと伝えた。その方は年上のスタッフの方と相談していたようだったが、結局、そのままになって、最後まで荷物は置かれたままだった。

 私はこれは非常に危険だと思う。放置した人の危機管理を疑う。私はすぐ後ろの席だったので、注意してみていたが、何人もが迷惑そうに歩いていた。が、迷惑なだけならまだいい。これは危険なのだ。お年寄りがつまずいたりしたら大変なことになる。そのことを事務室に伝え、改善をお願いしたのだった。二度とこのようなことがないように願う。客の安全には細心の注意をしていただきたい。

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コメント

私が注意を受けた例を話したいと思います。昨年のN響コンサートのことですが、隣の女性から動くと服が擦れる音がしてうるさいから動くな!と注意されました。「動くな!」とは一体なんだと私は頭に血が昇り、コンサートの後半はほとんど音楽を聴くことができませんでした。別に体を大きく動かしていた訳でもなく、人間多少コンサート中に体が動くのは当たり前のことではないでしょうか。その女性の様子を観察すると、その人にしても、演奏中プログラムをめくったり、手を顎に当てたり戻したりしていました。終演後、指揮者が引き上げたのを見計らって、連れの男性に私は大声で抗議しました。服の擦れる音が気になるようなら、コンサートなどに来るなと私は言いたい。

投稿: | 2019年10月31日 (木) 12時08分

コメント、ありがとうございます。
私も、ポケットに入れていたパンフレットがこすれてうるさいという注意を受けたことがあります。身動きしないでくれと注意されたこともあります。確かに、愉快なことではありませんね。自分でしている迷惑は自分ではなかなか気づかないということなのでしょう。
ただ、今回、私が係りの人に注意してほしかったのは、「迷惑」でなく、「危険」です。しかも、私が直接お客さんに注意をすると不愉快になるだろうと思って係の方にお願いしたのでした。危険なことについては、きちんと注意してほしいと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2019年11月 4日 (月) 12時54分

本文で書いた、通路の荷物についての注意について、つけ加えます。
終演後、係の方に事情を説明して「抗議」をし、私の連絡先を伝えておいたのですが、後日、担当の方から電話をいただきました。
「慣れない者がその場にいたので、配慮が足りなかった。当然、係の者が注意をするべきだった。これからそのようなことがないように気を付ける」という趣旨でした。
私はそれは担当している方の心からの言葉だと思いますので、今後、改善されると信じます。

投稿: 樋口裕一 | 2019年11月 5日 (火) 07時21分

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