全日本オペラネットワークによる全国オペラminiフォーラム 三枝成彰オペラに感銘
2019年10月22日、天皇即位の日。私は川口市のリリアホール大会議室で全日本オペラネットワークによる全国オペラminiフォーラムに参加した。私もこの会員の一人。
午前中は、杉理一氏の解説によって世界的な大歌手の秘蔵映像をみた。
往年のイタリアオペラの大歌手たちの歌に圧倒された。私は50年前からのオペラ・ファンだが、ドイツ系のオペラが好きで、イタリアオペラにはまったく触れなかった。2000年以前にはイタリア物の実演はほとんど聴いたことがない。だが、これらの歌手たちの歌は本当にすごい。カラス、スコット、カバリエ、ノーマン(ドイツ物を得意としてので、もちろん何度も実演を聴いた)、バルツァ、ベルガンサ、ボニソルリ、パヴァロッティ、ドミンゴ、ディ・ステファーノ、ギャウロフ。
杉さんの功績にも改めて驚く。NHKの職員としてイタリアオペラを日本人に伝え、日本のオペラ創作にも尽力し、退職後もオペラ製作・演出を精力的になさっておられる。
午後には作曲家の三枝成彰氏においでいただいての特別講演。「忠臣蔵」「Jr.バタフライ」「KAMIKAZEー神風」などの三枝さんのオペラの映像を見ながら、その制作秘話をきいた。
私は三枝オペラのファンなので、かなりのオペラの実演を見ているし、映像も見ている。が、改めて見ると、やはり本当に素晴らしい。調性にこだわる三枝さんの姿勢にも共感する。
確かに、人間の真実は予定調和のない不安定の世界だろう。そうした真実を描くには無調がふさわしい。しかし、すべてのオペラが人間の真実を真正面から描く必要はない。からめ手で真実を描くのでもいい。真実からかけ離れた夢をオペラとして描くのでもいいはずだ。だったら、すべての現代オペラが無調である必要はない。当たり前のことだと思う。それを堂々と三枝さんは実行なさっている。しかも、自分で資金を集め、自分で制作までしている。
音楽としても本当に見事。「忠臣蔵」の武士たちの合唱は何度聴いても感動する。ただ実は、「KAMIKAZEー神風」の涙っぽいところは私の趣味ではないのだが。
どうすればウケるオペラが書けるかもちょこちょこと、笑いにまぎらせながら教えてくれた。高尚な、一部の人だけに好まれる音楽ではなく、多くの人にウケるオペラを書こうという姿勢こそが、実は尊いと思う。シュトラウスもまさにそうだった!
私は三枝さんの最新作「狂おしき真夏の一日」は大傑作だと思う。三枝+林真理子の喜劇第二弾をみたい!
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