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ドーリック弦楽四重奏団 とてもおもしろい演奏だったが、感動はしなかった

 2019年1031日、紀尾井ホールでドーリック弦楽四重奏団のコンサートを聴いた。曲目は前半にハイドン作曲弦賀寿四重奏曲第38番「冗談」とブリテン作曲の弦楽四重奏曲第3番、後半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番(大フーガ付き)。

 ドーリック弦楽四重奏団は初めて聴いた。女性二人が入って、男女二人ずつになったとのこと。

 親密な演奏というべきだろう。キアロスクーロ・カルテットを聴いたときに同じように感じたのを思い出した。繊細に小さく音楽を作る。ひそやかにささやくように。同質の音、完璧なアンサンブル。しなやかでまるでひそひそばなしのよう。楽しげに、冗談を言うように。息を合わせて語り合う。

 この3曲を同じような曲としてとらえているようだ。ちょっと冗談を言うように、息をひそめ、相手の顔を見合わせ、くすくすっと語る。親密な空間ができあがる。繊細で、心の奥にしみこむ。ブリテンの曲のおもしろさには息をのんだ。美しい。もの悲しい。あまりに繊細。

 ただ、これで大フーガを演奏されると、私としては少々物足りない。スケールが小さく、牙がなく、あまりに「草食系」。こんな第13番の弦楽四重奏曲を聴いたことがなかったので、とてもおもしろかったが、感動はしなかった。もっと牙のあるベートーヴェンに私は感動する。

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コメント

11月1日に武蔵野市民文化会館でドーリック弦楽四重奏団を聴いて来ました。
前半の「ハイドンのひばり」と「ブリテンの第3番」までは、第一ヴァイオリンの紡ぎだす澄んだ音色、フラジオのような音や弱音のひそやかさ、それによく呼応したアンサンブルに引き込まれて興味深く聴いていましたが、後半の死と乙女になると次第に聞かせどころの所が少々ふにゃっとした印象で、自分としてはもう少し骨太な演奏を聴きたかったなという感想でしたので・・・先生のおっしゃる「草食系」というお言葉に思わずそうそう!と相槌を打ってしまった次第です。
余談ですが・・・途中端正な第一ヴァイオリンの青年の足元の靴下がなぜか黄色、青、白、紫、といった多色ボーダーの靴下を履いていらしたのに気づきまして、男性奏者は黒や地味な色のソックスしか見たことが無かったのですが、なんとなく親しみを感じてしまいました。
いつも大変楽しく興味深い記事を有難うございます。

投稿: すわん | 2019年11月 2日 (土) 04時01分

すわん 様
コメント、ありがとうございます。
私もまったく同じように感じたのでした。そして、私も第一ヴァイオリンの方の靴下には気づきました。きっと同じ(あるいは同じような)靴下だったのだと思います。一つの自己表現としてあのような靴下をはいているのでしょう。

投稿: 樋口裕一 | 2019年11月 4日 (月) 12時57分

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