テミルカーノフ+読響 ショスタコーヴィチ「バビ・ヤール」 満足した
2019年10月9日、サントリーホールで読売日本交響楽団の定期演奏会を聴いた。指揮はユーリ・テミルカーノフ、曲目は前半にハイドンの交響曲第94番「驚愕」、後半に、バスのピョートル・ミグノフと冨平恭平合唱指揮による新国立劇場合唱団が加わって、ショスタコーヴィチの交響曲第13番「バビ・ヤール」。テミルカーノフを聴くのは、10年以上前に、サンクト・ペテルブルク・フィルの演奏以来。多分、3度目くらい。
「驚愕」はあまりおもしろくなかった。大柄なハイドンで、切れが良いわけでも、しなやかなわけでもなく、だからといってスケールが大きいわけでもなく・・・・。何をしたいのかよくわからなかった。正直いって、どう聞いてよいのかわからなかった。私としては少々退屈した。
「バビ・ヤール」はさすがに素晴らしかった。読響のメンバーも素晴らしい。テミルカーノフはオーケストラを完全に掌握している感じ。切れの良い音がストレートに出てくる。しかも音の重なりがとても美しい。そして、ショスタコーヴィチ特有の諧謔的で含みのある強烈な音楽が展開されていく。
エフトゥシェンコの詩に基づくので、ショスタコーヴィチの音楽のわりにはわかりやすい。意味の仕掛けが理解しやすいといえるだろう。だが、詩と音楽のつながりがよくわからないところは多々ある。ショスタコーヴィチの交響曲を聴くときにはいつものことだが、なんだかよくわからないまま、ともあれ納得させられる。
テミルカーノフは、その点でも確信に満ちた指揮ぶりで、揺るぎがない。音がびしりと決まって、濁りがない。しかも、重厚さや深みも備えている。本当に素晴らしい音だと思う。読響も見事というしかない。
バスのミグノフは初めのころ、ちょっと音程が不安定に感じたし、声が十分に伸びていなかったと思う。が、徐々に良くなった。それにしても、この曲を歌い続けるのはあまりに過酷だと思う。ワーグナーのヴォータンだってこれほど長時間は歌わないだろうと思う。これだけ歌えるだけでもすごい。合唱もとてもよかった。
2回連続のショスタコーヴィチだった。満足した。
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