パーヴォ・ヤルヴィ+コンセルトヘボウのベートーヴェン第4番 全身が震えた
2019年11月19日、サントリーホールでロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会を聴いた。指揮はパーヴォ・ヤルヴィ、曲目は前半にベートーヴェンの交響曲第4番、後半にショスタコーヴィチの交響曲第10番。超名演だった。
まず、コンセルトヘボウの音の美しさに改めて驚嘆。とりわけ木管楽器の美しさには本当にうっとりする。クラリネットの弱音のニュアンスの豊かさに心が震えた。もちろん、弦楽器も潤いがあり、しなやか。音を聴くだけで実に快感。
そして、パーヴォの棒さばきも見事。ベートーヴェンの交響曲第4番の第1楽章。もやもやした雰囲気で始まり、雲が晴れるかのように視野が開ける。そして、躍動し、ワクワク感が広がる。その様子がパーヴォの棒によって実現されていく。生命力に富み、リズムにあふれ、構成感もある。音楽が心地よく推進されていく。第3楽章のスケルツォも終楽章も躍動し心が弾んでいく。
昔、音楽に感動すると、背中に悪寒が走り、全身がしびれたようになっていた。長らくそのような感動を覚えたことがなかったが、今日、久しぶりにその状態になった。
後半のショスタコーヴィチもすごかった。ベートーヴェンの第4番ほど好きな曲ではないのだが、やはりこの音の饗宴には圧倒されるしかない。強烈な音が充満する。ショスタコーヴィチの音はまさにヒステリックなのだが、心の奥底からの深いヒステリーだとでもいうか。少しも下品でなく、心の奥を揺り動かす。様々な音が縦横無尽に入り組み、それが見事に整理される。が、もちろん整理されるといっても、予定調和的ではなく、強烈さを失っていない。狂乱の音楽に私の心も狂乱しそう。
アンコールはチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の「トレパック」とシベリウスの「悲しきワルツ」。これらも素晴らしかった。「悲しきワルツ」では弦のアンサンブルの美しさに酔った。
コンセルトヘボウの音はすごいなあ、パーヴォはすごい指揮者だなあというきわめてプリミティブな感想を反芻しながら、家に帰った。
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