新国立劇場「ドン・パスクワーレ」を楽しんだ
2019年11月11日、新国立劇場で「ドン・パスクワーレ」を見た。とても楽しかった。
やはり、ドン・パスクワーレを歌ったロベルト・スカンディウッツィがいい。まさに適役。自在に、芸達者に歌い、声も伸びている。演技も見事。愛すべき頑固者の雰囲気が出ている。マラテスタのビアジオ・ピッツーティも、はじめのうち少しだけ不安定だったが、すぐに良くなって、後半は自在な歌唱になった。エルネストのマキシム・ミロノフはきれいな声だが、あまりに線が細い。高音の音程も時々ふらついた。ノリーナを歌うのはハスミック・トロシャン。最初の予定ではドゥ・ニースということだったが、変更になったらしい。しかし、十分に美しい声で華麗に歌っていた。ノリーナにぴったりだった。
指揮はコッラード・ロヴァーリス。手堅く中庸の指揮といえるだろう。もう少しやりようがあると思う。後半で盛り上がったが、前半、もたつき気味に聞こえた。もっと音楽を推進してほしいと思った。演出はステファノ・ヴィツィオーリ。装置の動き方、デザイン。歌手たちの動きなど、どれもとてもしゃれていて、楽しかった。後半、大いに笑い声が上がっていた。
合唱は三澤洋史の合唱指揮による新国立劇場合唱団。とてもよかった。東京フィルハーモニー交響楽団は特に大きなミスはなかったと思うが、とても精妙な音とは言えなかった。
全体的に、難はなくもないが、ともあれ要所要所ではおもしろさ、楽しさがうわまわって、見事なオペラが出来上がっていた。
十分にオペラを堪能することができた。
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コメント
私も楽しみました。指揮も演出もとくに何をやっているわけではなく、歌手が良かったと、ただ一言で済むような公演でしたが、それでも不満はありませんでした。
投稿: Eno | 2019年11月12日 (火) 12時50分
Eno様
コメント、ありがとうございます。まったくもっておっしゃる通りだと思います!
ブログを時々のぞかせていただいております。ブロムシュテットのブラームスの第3番に関しましても、まったくもって同意です。
投稿: 樋口裕一 | 2019年11月20日 (水) 00時38分