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シフ ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会の初日 興奮した!

 2019年11月7日、オペラシティ・コンサートホールで、アンドラーシュ・シフ ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会の初日を聴いた。自ら創設したカペラ・アンドレア・バルカを指揮してのいわゆる「弾き振り」。曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第234番。

 カペラ・アンドレア・バルカは、いわばシフの友人たちなのだと思う。ふだんはソリストとして活躍する演奏家たちが臨時に集まって演奏するらしい。かなり高齢の人々。平衡配置なのだが、コントラバスが1台ずつ右と左に分かれて配置されている。出てくる音は素晴らしい。しなやかで柔らかくて潤いがあって艶がある。まさに大人の味わい。

 シフのピアノの音も粒立ちが良く、しかもオーケストラ以上にしなやか。しかし、ここぞというところでは深く強い音がして、それが心の奥に響く。まったく誇張がなく、自然に流れていくが、深い情緒があり、ドラマがある。凄い!!

 第3番が圧倒的に素晴らしかった。この曲は、悲劇性を強調しすぎると不自然になる。が、それをしっかりと均整を取りながら、そこにベートーヴェンらしい魂の爆発を加えていく。第2楽章、第3楽章は圧巻。

 第4番もとてもよかったが、私は第3番のほうに感銘を受けた。第4番の第2楽章(私も最も好きな楽章だ)が私としてはもっと感動させてほしかった。ちょっと不発。

 アンコールで「皇帝」の第2楽章が始まったので、この楽章だけだと思っていたら、そのまま第3楽章に突入。最後まで演奏された。これもいたずらに華麗なのではなく、深みがあり、節度がありながら、徐々に爆発していく。素晴らしかった。

 そして、さすがにそれでおしまいかと思っていたら、そのあとシフ一人でピアノ曲のアンコール。ベートーヴェンのピアノソナタ第12番。第3楽章の葬送行進曲が始まったので、この楽章で終わりかと思っていたら、第4楽章まで演奏された。どなたかシフの親しい人が亡くなったのだろうか。その人のためのこのアンコールではないかと思った。

 興奮したまま帰途に就いた。明日の朝も忙しいし、明日もまたシフの演奏を聴くので、ブログを書くのはこのくらいにする。

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コメント

小生は、第一日目だけ、聴きました。予想に違わず、素晴らしい演奏でした。いつもながら、シフのピアノの音のよいこと、クリアーで、柔らかで、響きの豊潤さに、酔いしれでしまいます。今回は、オーケストラの弾き振りということで、室内楽的な、親密なアンサンブルによるアプローチが、際立った演奏で、彼の音楽作りの真骨頂に接して、感動しました。室内楽的と言っても、音量は、実に豊かで、後方の席でも、ピアニシモが、あんなに雄弁に響くことは驚きでした。ベートーヴェンの2,3,4番の協奏曲を、堪能したのですが、シフの演奏の本質は曲を十全に歌わせること、ではないか、と思いました。従来の演奏は、ピアノと、オーケストラを対置して、論争したり、共感したり、ドラマティックな、側面を強調する感がありました。(従って、楽章間のテンポの対比は、劇的な印象が強い)。アンコールについては、これまでの、ソロのリサイタルでも、サービス精神旺盛で、『ディアベリ変奏曲』や大きなソナタの後に、30番のソナタ全曲、とか、ゴルトベルク変奏曲全曲とか、破天荒な、盛り上がりを、見せてくれたものでした。要するに、音楽を楽しむ、ことが、第一ということなのですね。第二日は、1番の協奏曲が、取り分けよかった、ようで、残念なことをしました。アンコールの『テレーゼ』は、2楽章構成なので、全曲だったと思います。樋口先生のコンサートのレポは、いつもながら、オーディエンスの感受性の核心をついた文章の力に共感してしまいます。

投稿: おとだま | 2019年11月 9日 (土) 07時29分

おとだま 様
コメント、ありがとうございます。シフの初日、聴かれたんですね。本当に素晴らしい体験ができました。おっしゃる通り、「曲を十全に歌わせること」というご指摘、その通りだと思います。自己主張はしないで曲を歌わせていましたね。そこに得も言われぬ調和が生まれていました。そうですか。いつもアンコールはあのように豪勢なのですか。私は普段あまりピアノには惹かれないのですが、シフはぜひまた聴きたくなりました。
文章についておほめいただき、恐縮です。でも、私としましては、むしろ、「おとだま」様の文章の格調高さ、的確さに驚嘆しております。

投稿: 樋口裕一 | 2019年11月10日 (日) 22時34分

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