関西弦楽四重奏団と豊嶋泰嗣によるブラームス弦楽五重奏曲全曲演奏会 ブラームスの声が聞こえるような演奏!
2019年12月24日、HAKUJUホールで関西弦楽四重奏団と豊嶋泰嗣によるブラームス弦楽五重奏曲全曲演奏会を聴いた。素晴らしかった。
初めにハイドンの弦楽四重奏曲ニ短調「五度」が演奏された。初めて聴いた。とても面白い曲だと思う。魅力的な曲想にあふれている。演奏も明快でしなやか。
とはいえ、やはりブラームスは別格に素晴らしい。豊嶋のヴィオラが増えただけでがぜん深みが増し、厚みが増す。しかも、ブラームス特有の煮えたぎる思いをぐっと抑制したような音が聞こえてきた。最近流行の緻密なアンサンブルのきりりとした室内楽ではない。もっと人間味にあふれ、情念がこぼれるような音楽。やはりブラームスはこのような音のほうがふさわしい。第1番の終楽章の勢いのある情念のほとばしりは素晴らしかった。
後半の第2番は渋みの増した曲だが、これも関西四重奏団の手にかかると、決して地味なだけの音楽ではなくなる。堅固な構築性のなかに勢いがあり、人間味がある。何とも言えぬ安定感がある。これこそブラームスの魅力だと思う。
ヴァイオリン二人が女性だが、女性っぽい音楽ではない。この頃、とりわけ日本の室内楽団は女性が多く、時に繊細で優美な音楽が奏でられることが多い。それはそれでもちろん悪くないのだが、ブラームスに関しては、私はそのような演奏は好まない。その点、今回の演奏は、豊嶋さんが加わったことも影響しているのかもしれないが、ブラームスらしい、まさに男の声が聞こえてくる。
久しぶりにブラームスの声の聞こえてくるような室内楽を聴いた。クリスマス・イブを豊かな音楽で過ごせたことにとても満足した。
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