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2019年大晦日の「ベートーヴェンは凄い!」に元気をもらって2020年が始まった

 2020年になった。オリンピックの年だが、我が家にも大きな出来事が予定されている。よいことばかり起こってくれることを祈る。

 昨日(2019年12月31日)、東京文化会館でベートーヴェンの全交響曲演奏会「ベートーヴェンは凄い!」を聴いた。全9曲を一人で指揮するのは小林研一郎、オーケストラは岩城弘之メモリアル・オーケストラ。篠崎史紀さんらNHK交響楽団などのえりすぐりのメンバー。十数年前、初めてこのイベントを聴いて以来、コバケンさん(一度お会いしてお話しする機会があったとき、「コバケンさん」と呼んでよいという許可をいただいたので、最高の尊敬を込めて、コバケンさんと呼ばせていただく)のあまりの白熱ぶりに驚嘆し、最後には全身で感動。それ以来このイベントを楽しみにしてきたのだが、昨年と一昨年は体調を崩すなどしてきけなかった。久しぶりの「ベートーヴェンは凄い」だった。

 第1番が始まったが、コバケンさんの燃える演奏ではなかった。聞こえてくる音楽も燃えていないし、そもそも指揮棒を振る姿もいつもの「入魂のコバケン」ではない。もちろん、とても良い演奏で、オーケストラは素晴らしいし、ベートーヴェンの音楽の作りがとてもよくわかるのだが、これまでのコバケンとあまりに違う。もしかしたら、私が聴かなかった2年間のうちにコバケンさんのベートーヴェン解釈が変化したのだろうかと思った。

 徐々に少しずつコバケンさんらしさが見えるようになった。第3番もとても良かった。第5番も見事だった。第6番の、穏やかで優しく始まった音楽がだんだん形を成していくさまも見事だった。だが、白熱の音楽とはいえない。

 第7番の第3楽章あたりから、コバケンの世界になってきた。まさに入魂。そして、第九。素晴らしい演奏だった。武蔵野合唱団の合唱の精度が少し甘かったのと、それぞれに素晴らしい4人のソリスト(市原愛、山下牧子、ジョン・健・ヌッツォ、青山貴)がうまくハーモニーを醸し出さないのを感じた。だが、第四楽章の盛り上がりは素晴らしい。私は、第九の最後の2分間についてはコバケンさんは群を抜いて古今東西世界一の指揮者だと思っている。最高の祝祭感、最高の高揚。魂が燃え上がる。

 大拍手の後、実は、コバケンさんは昨晩、鼻血が止まらず、救急車で運ばれたのだという。鼻に詰め物をして、体調に気遣いながら、演奏していたのだった。そういえば、しばしばハンカチを鼻にあてているのには気づいていた。もしかしたら、ゲネプロも十分ではなかったために、合唱や独唱を合わせられなかったのかもしれない。

 終演後、鼻に詰め物をしたコバケンさんを近くから見た。このような状態でありながら、ベートーヴェンの全交響曲を振られたことに改めて驚嘆。コバケンさんの不屈の精神にもベートーヴェンの不屈の精神にも圧倒される。

 大晦日の「ベートーヴェンは凄い!」に元気をもらって、2020年が始まった。

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コメント

こんばんは。

先日、コバケンさんの不屈の精神の話を聞いて、僕もコバケンさんの80歳の誕生日のコンサートに行きたくなりました。僕は恥ずかしながら彼の指揮を生で見たのは一度きりですが、ただ者ではなかったです。

出来ればコバケンさんのベートーヴェンも聴くべきでしょうが、それよりもベートーヴェンの交響曲のコンサートに機会あれば行くべきなのでしょうね。

ちなみに僕は第7番の特にイ短調の第2楽章が好きですが。

投稿: kum | 2020年1月21日 (火) 22時18分

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