ネマニャのハチャトゥリアン 研ぎ澄まされた音による躍動の音楽
2020年2月1日、東京芸術劇場で読売日本交響楽団土曜マチネーシリーズを聴いた。指揮は山田和樹、曲目は、前半にマーラーの「花の章」と、ネマニャ・ラドゥロヴィチが加わってハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。後半に「巨人」(ただし、私は後半は聴かなかった)。
私はマーラー嫌いだ。よって、「花の章」(当初、「巨人」に加わるはずだった楽章だとのこと)を聴いても、いったい何のことやら?としか思えない。他愛のないだらしのないメロディがトランペットで演奏され、妙に思い入れたっぷりの音が続いて、なんだかわからない展開をなされる…としか私には思えないのだが、これに感動する人がいるのだろうか。
その後のハチャトゥリアンは、なかなか面白かった。私はネマニャ・ラドゥロヴィチのファンだ。細身で透明で研ぎ澄まされたヴァイオリンの音。切れの良い刻みによってスケールの大きな音楽が躍動する。まさに鮮烈。クラリネットとの掛け合いがある。まさにオーケストラとの間で対話がなされ、観客との間でも対話がなされる。
ただ、実をいうと、私はハチャトゥリアンの音楽にそれほどなじんでいない。このヴァイオリン協奏曲も、数えるほどしか聴いたことがない。そして、聴くたびに、不完全燃焼を覚える。音楽が私の心の上を通り抜けていく。私の心の奥を揺り動かさないし、私の心を爆発させない。三つの楽章が有機的につながっているとは思えない。もしかしたら、第二楽章はアルメニアの音楽にふさわしくもっと悲痛に演奏するべきではないのか、そうすれば全体がもっと有機的に結びつくのではないかなどと考えてみる。山田和樹の指揮については、ともあれ、とても明快でメリハリがあって、しっかりとネマニャのヴァイオリンをサポートしているといえるだろう。
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