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「パラサイト 半地下の家族」 寓話でありながら強烈なリアリティ

 韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)をみた。評判は聴いていたが、言われている通り、とてもおもしろかった。

 いわゆる「ネタバレ」になるので、詳しくは書かないが、前半は、半地下に暮らす貧しい一家の息子が富裕な家庭に家庭教師として入り込み、無防備な夫人をだまして、妹、父、母を次々とその家庭に呼び込む様子が描かれる。そして、富裕家族が留守にした日、豪邸に入り込んで貧しい家族全員が酒盛りを始めた時から、怒涛の後半が始まる。その家の地下に隠れて住んでいた男の存在が明らかになり、富裕層と半地下の層と地下の層という階層の違いがあらわになり、みつどもえになって対立し、血なまぐさい殺人事件が起こる。

 三つの階層のありようを寓話として描いているのだと思う。一般的に、寓話として描くと、図式的になり、おとぎ話のようになる。ところが、この監督の手にかかると、寓話でありながら、強烈な生命力を持ち、画面が躍動する。この、ありそうもない出来事が、俳優たちの演技やら巧妙にできた台本やらのために、リアルに息づいていく。富裕層の人間に「くさい」と表現されたことによって沸き起こる憎しみにもリアリティがある。そう、画面から激しい臭気が発せられる。みる者は、あれよあれよという展開に驚きながら、そのリアリティに納得し、不思議な感動を覚える。

 是枝監督の「万引き家族」を思わせる設定なのだが、さすが韓国映画は日本映画のようには情緒的にはならず、もっと波乱万丈でもっとダイナミック。日本と韓国の国民性の違いが感じられた。

 好きな映画かといわれると、決してそうではない。臭気にあふれすぎている。だが、このリアリティには屈服せざるを得ない。

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