ピノック&紀尾井のレクイエム 端正で深みのある演奏
2020年2月9日、紀尾井ホールでトレヴァー・ピノック指揮、紀尾井ホール室内管弦楽団の演奏を聴いた。曲目は、前半にモーツァルトの交響曲第40番と「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、後半に「レクイエム」(ジュスマイヤー補訂版)。
ピノックの実演を聴いたのは初めて。ハイドンの交響曲のCDはかつて何度か聴いて、とてもいい指揮者だと思っていたが、実演を聴いて、まさにその通りの印象を抱いた。テンポをいじったり、どこかのパートに思い入れをしたりしない。端正で高貴でまとまりの良い正統派の演奏。しかし、さっそうとしており、音楽が深く流れていく。ただ、ちょっと当たり前すぎる気がするが、聴いているうちに納得していく。紀尾井ホール室内管弦楽団は現代楽器を使ったオーケストラだが、古楽的な奏法を取り入れているのだろう、古楽の響きがする。
とりわけ、レクイエムはよかった。無理やり厳かさを際立たせるわけではない。音楽がおのずと語るように演奏していく。そうであるがゆえに、しみじみと深い音楽があふれてくる。
ソリストは大いに健闘していると思う。望月万里亜やボーイソプラノのような清純な声でとても魅力的だし、アルトの青木洋也は特有のきれいな音色、テノールの中島克彦もバスの山本悠尋もしっかりした声。紀伊おいホール合唱団も見事だと思った。
ただ、心の底から感動したかというと、実はそうでもなかった。オーケストラとソロについては、ピノックの理想通りに行っていないのではないかと思う部分が時々あった。健闘はしているが、ぴたりと決まって魂が震える…という場面は、私にはなかった。きっとあと少しの精度が不足したのではないかと思う。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- ヴァン・カイック弦楽四重奏団 音楽そのものの醍醐味!(2026.10.09)
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)

コメント