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「アニエスによるヴァルダ」 日常の奥の心の襞を見つける

 アニエス・ヴァルダの映画「アニエスによるヴァルダ」をみた。90歳になったアニエス・ヴァルダが聴衆を前に自分の人生を語っている場面を中心に、過去のヴァルダ自身の映像作品が挿入される。初めて見る映像もかなりあった。

 自在な語り口。大きな枠に沿って話は進むが、自由に脇道にそれ、そうでありながら、またいつの間にか元に戻っている。「ダゲール街の人々」や「落穂拾い」や「アニエスの浜辺」や「顔たち、ところどころ」でも存分に発揮された語り口だ。しかも、今回は、90歳になったヴァルダ自身が直接に自分を語る。「5時から7時までのクレオ」や「幸福」の撮影秘話も語られる。

 興味をひかれることが多い。とりわけ、「幸福」が大好きな私としては、うれしい場面がいくつもあった。色に対する気遣い、音楽への関心が聴かれたことも収穫だった。

 人に対して尽きせぬ興味を抱き、人の行動に対して愛情を注ぎ、日常のさりげないものに新しい側面を見つけ出し、そこに人間の心の襞を見つける。これがヴァルダの精神だと思った。

 ただ、実を言うと、少々退屈したのだった。よく知らない作品も言及されるが、説明なしに語られるので、その意味するところをすぐに理解できない箇所もあった。2時間ほどの映画だったが、少々長すぎた気がする。

 映画はできれば映画館でみたいとしばしば思う。自宅でみると、雑用や気がかりのために集中できない。が、今回のこの映画に関しては、むしろDVDなどのソフトを家でみるほうがよかったと思った。家にいながら、映像を止めたり、前に戻したりしながら、過去のヴァルダの映画のDVDを引っ張り出したり、ネットで調べたりしてみるほうが楽しかっただろうと思った。続けてみると、ヴァルダの生涯の映画をうまく整理できないまま終わりそうな気がした。

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