YAMATO String Quartetのラズモフスキー1・2・3番 もっとはっちゃけたベートーヴェンを聴きたかった!
2020年8月5日、神奈川県立音楽堂でYAMATO String Quartetによるベートーヴェンの中後期弦楽四重奏曲連続演奏の初回を聴いた。演奏者は第1ヴァイオリン・石田泰尚、第2ヴァイオリン・執行恒宏、ヴィオラ・榎戸崇浩、チェロ阪田宏彰。初めてこの音楽堂を訪れたが、真昼間、35℃くらいある中、マスクをつけて坂を上った。かなり急な坂だった。客に高齢者の方が多かったので、みんな大変だったのではないか。いや、かくいう私も十分に高齢者。
曲目は、ラズモフスキー第1・2・3番(すなわち弦楽四重奏曲第7・8・9番)。第1番は、正直言って期待外れだった。音にまとまりがない。第1ヴァイオリンの石田さんの音もぴしりと決まらない。今まで何度か石田さんの演奏を聴いたが、たぶんスロースターターなのだと思う。
それに、ちょっとベートーヴェンに遠慮しすぎている気がする。まるでおさらいをしているようで、おそるおそる音を鳴らしている感じがある。自分なりの音楽を作るというよりも無難に合わせようとしているように聞こえる。
私がベルチャ四重奏団やエベーヌ四重奏団のような凄まじすぎる演奏を好んで聴いているせいもあるのだが、あまりに微温的に思えた。
だが、第2番になってから、私はかなり音楽に乗ることができた。石田さんが意識的にリードするようになったように思った。特に第3楽章の独特の雰囲気を石田さんのヴァイオリンが見事に演奏した。細身の独特の美音でキレがよく、諧謔的でもあり大真面目でもある。
第3番もそれに続いて、しっかりした演奏になった。
ただ、アンコール(何の曲か知らない。ミニマルミュージックっぽい現代曲)を聴いて、ベートーヴェンでももう少しこんな味を出してほしかったと思った。これは素晴らしい演奏。音楽を自分のものにし、自在に弾きまくる。楽しいし、躍動的だし、音楽の楽しみがいっぱい。ベートーヴェンでまじめにお勉強の曲を弾いた後、そこから解放されて思いっきり演奏した感じ。でも、ベートーヴェンをもっと思いっきり演奏してほしかった。私はそれを期待して足を運んだのだった。
この団体独特のベートーヴェンを聴きたいと改めて思った。もっとはっちゃけたベートーヴェンを聴きたかった。
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