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園田+日フィル 「ウィリアム・テル」序曲と「ジュピター」 ニュアンスと躍動

 2020年9月20日、東京芸術劇場で日本フィルハーモニー交響楽団サンデーコンサートを聴いた。指揮は園田隆一郎。曲目は、前半にロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲と、ヴァイオニストの石上真由子が加わってのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調、後半にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。

 園田のロッシーニはやはり素晴らしい。細かいニュアンスをきちんと描くが、それによって躍動感は少しも減じない。むしろ、ニュアンスが描かれれば描かれるだけ、動的になり、ダイナミックになる。平板なダイナミズムではなく、しっかりと躍動の刻印されたダイナミズムというべきか。日フィルの音も濁らずに、とても爽快。

 ただ、次のメンデルスゾーンについては、ちょっともたついた気がした。石上のヴァイオリンの音色がちょっと独特だと思う。重めの真面目な音色だとでもいうか。つまり、軽やかでなく、流麗でもない。それはそれでメンデルスゾーンの抑制された悲しみの世界を描くには悪くないと思うのだが、どうも音楽が流れない気がする。第一楽章では石上のヴァイオリンの細かい処理がちょっと雑だと思った(緊張していたのか?)。だんだん良くなったが、メンデルスゾーンのこの曲はもっと流れてほしい。オーケストラにも濁った音が混じった。

 ヴァイオリンのアンコールが演奏された。曲名を確認するのを忘れたが、パガニーニの24のカプリースの中の曲だったかな? ただ、この演奏もテクニックの確かさを知ることはできたが、感動するには至らなかった。

 後半の「ジュピター」はとても良かった。第2・3楽章は私にはちょっと退屈に感じる瞬間があった(演奏がよくないかどうかはわからない)が、終楽章は息をのむような瞬間が何度もあった。壮大にして躍動的。音が見事に重なり合っていった。しかも、あくまでも自然に流れる。ここでも細かなニュアンスが躍動につながっていく。

 初めの予定では、この日はロッシーニの「スターバト・マーテル」が予定されていた。コロナのせいで曲目変更になった。園田の「スターバト・マーテル」を聴きたかったと、改めて思った。

 

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