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久しぶりの京都 美濃吉での三度の食事、ちょっとの観光

 202094日と5日、仕事で京都を訪れた。出発時、名古屋付近で大雨だということで新幹線のダイヤが乱れ、ひやひやしたが、ともあれ仕事時間に間に合った。

 私は大学を定年退職した後は、年に6~9回の海外旅行をしていた。国内のあちこちにも仕事で出かけていた。ところが、新型コロナウイルスの影響で、2019年の夏から1年以上にわたって海外旅行はしていない。仕事での遠出も静岡がせいぜいだった。久しぶりの関西での仕事。4日の夜が遅くなり、久しぶりの遠出でもあるので、ホテルに一泊して5日は一日、ひとりで観光することにした。あれほどしばしばホテルを利用していたのに、そもそもホテルに泊まるのもまさに1年ぶりだと、フロントに立って思いあたった。

 京都はがらんとしていた。あれほど飛び交っていた中国語はほとんど聞こえない。レストランや喫茶も閉まっているのが目に付いた。地下街などの冷房のきいた場所はそれなりには人気があるが、京都駅付近の戸外では人影はあまり見えなかった。35℃を超す暑さなのに、ヨーロッパと同じようにテラス席で食事を楽しむ客をあちこちで見かけた。密を防ぐために、外での飲食をしているのだろう。そこで聞こえてくるのも日本語、しかも関西弁ばかり。

 4日の夜、5日の朝と夕、京都駅前の新阪急ホテル地下にある美濃吉で食事をとった。京都を訪れるたびに私はこのお店での食事を楽しんでいる。ここの美濃吉は格別においしいと私は思う。久しぶりに満喫したいと思っていたが、思いはかなえられた。私の大好物、「京の白味噌仕立て」はまさに絶品。4日の夜は定食「鴨川」、5日の夜は「花懐石」と土瓶蒸しを食べたが、いずれも最高のうまさだった。「白味噌仕立て」もさることながら、鉢物も木の子の炊き込みご飯も最高。5日の朝のおかゆもおいしかった。これほどの味なのに、新型コロナウイルスのために客が少ない。あまりにもったいない。

 ちょっと心配していたが、美濃吉はもちろん、ほかのお店も新型コロナウイルス感染防止対策は万全のようだ。どこに行っても検温があり、アルコール消毒を行い、給仕する方は二重にマスクをしているようだ。私自身も、感染の多い東京から出向いているので、間違っても京都に人にうつすことのないように気を付けた。

 5日には久しぶりに京都の世界遺産を見たいと思っていたが、朝から30℃を超している。昼間は36℃を超す予報だった。外を歩き回るのはあきらめて、京都シネマで映画をみて過ごすことにした。

 午前中に「ポルトガル、夏の終わり」、午後に「オフィシャル・シークレット」をみた(日を改めて、このブログに感想をアップする)。空き時間にタクシーで智積院に乗り付けて、短時間で長谷川等伯とその息子、久蔵の襖絵をみた。京都に行くたびに智積院の襖絵を見るのが私のこのところの習慣になっている。美術に関しては疎い私だが、この襖絵には感動する。襖絵に囲まれると、心が洗われる。

 その後、京都国立博物館で「聖地をたずねて」が開催されているのをしって、しばらく展示を見て過ごした。この方面の知識のない私には、残念ながらあまりありがたみはわからないが、ともあれ国宝や重要文化財を含む西国の寺院の所蔵する経典や縁起絵巻、曼陀羅図、仏像をみることができた。

 ごった返しているとまでは言えないが、かなりの人が訪れており、ゆっくりとみることができなかった。ふだんなら残念に思うところだが、コロナ禍の中、しっかりと文化活動を行われていることを頼もしく思った。思えば、京都シネマもかなり多くの人が訪れていた。満員ではないが、それなりには席が埋まり、チケット売り場にはしばしば長い行列ができていた。配置する人員を減らしていることも関係しているかもしれないが、文化活動がしっかりと行われているのはとてもうれしい。

「オフィシャル・シークレット」を見終わると、もう日は傾いていた。真昼間ほどの暑さではなくなっていたので、四条付近をぶらぶらと歩いた。だが、まだ35℃近くはあったと思う。意外と多くの人が歩いていた。もちろんほとんどが日本人。10年以上前、私が京都産業大学の客員教授として週に2回通っていたころと大差ない人出だと思った。

 暑いのはつらいが、京都の町をふらふらするのはとても楽しい。昔からあったお店、新しくできたお店を確かめて歩いた。が、やはりあまりの暑さにめげて、阪急河原町から阪急線と地下鉄を経由して京都駅に戻り、イノダコーヒーで一休みしてから、先ほど書いた通り、夕食のために美濃吉に向かい、その後、新幹線で東京に戻ったのだった。

 9月なのでいくらか観光ができるかと思っていたが、甘かった。もう少し涼しくなってから、また京都を訪れる機会があると嬉しい。

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