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「隅田川」と「カーリュー・リヴァー」の連続上演 清澄で静謐な音

 20201018日、よこすか芸術劇場で、能「隅田川」とブリテンのオペラ「カーリュー・リヴァー」連続上演をみた。「カーリュー・リヴァー」は「隅田川」にヒントを得て作られたオペラであり、連続してみると、なるほどそっくりのストーリーと構造であることが確認できる。行方不明になった子供を探す狂女が隅田川(カーリュー・リヴァー)を渡る小舟に乗って話を聞くうち、息子がちょうど一年前のその日に、その地で死んだことを知り、涙を流し、供養をする。

 能は、狂女を観世喜正。ただし、私はこれまでの生涯、能をみたのはこれが二度目。しかも、私はふだんは居眠りしない人間(高校のころの授業中も、大学に勤めていたころの教授会の最中も居眠りしたことがない!)なのだが、最初にみたとき、不覚にも眠ってしまったのだった。そんなわけで、まったく能についての知識がないままにみたのだが、なかなかおもしろかった。能の決まりごとやら所作やら、わからないところだらけだが、ところどころ、鼓の音やら笛の音やら、地謡やらに感動を覚えたところがあった。ただ、所作についてはよくわからなかった。私が舞踊の類についてまったく関心が向かないということだろう。

 休憩後のブリテンの「カーリュー・リヴァー」は素晴らしいと思った。

 指揮とオルガンは鈴木優人、演出は観世喜正と彌勒忠史。

 全員がまるでイスラム教徒の女性のようにすっぽりと体中を覆った服。マスク代わりにしているという実際的な意味もあるのだろうが、これによって国籍不明の異空間での話ということになる。しかも、様式化されることにもなって、見事。

 狂女の鈴木准、渡し守の与那城敬をはじめとした歌手陣も最高度に充実している。まったく文句なし。みんな声もよく伸びているし、この様式化された芝居を見事にこなしている。オーケストラも見事。私は感動してみた。

 ブリテンのオペラの美しさについても改めて感銘を受けた。「隅田川」とは異なって、オペラではキリスト教信仰が強調される。狂女は祈り、子どもと自分の救いを求めるが、その清澄で静謐な音楽に圧倒された。息子の死を知るという極限状況を純粋な音楽で描く。多くの作曲家のようにドラマティックに騒ぎ立てるでもない。能の精神に倣っているとでもいうのか、ピンと切り詰めた音でそれを描く。先日、CDでこのオペラを聴いてみた際にはあまり面白くないと思ったのだったが、舞台で聴くと、この凄味に驚く。

 とても満足した。

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