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小泉+都響 ブラームス交響曲第3番の終わりは昇華だった!

 20201025日、サントリーホールで都響スペシャル2020を聴いた。指揮は小泉和裕。曲目は前半にベートーヴェンの交響曲第4番、後半にブラームスの交響曲第3番。

 ともに私の大好きな曲だ。ベートーヴェンの交響曲全集のCDを買う(もしかしたら100種類以上所有しているかも)と最初に第4番を聴く。ブラームスの全集を買うと第3番を最初に聴く。期待通りの素晴らしい演奏だった。

 マエストロ小泉らしい、誇張のない真摯な演奏。ちょっとした手の動きによって音楽のニュアンスをオーケストラに伝え、それを実現していく。それが手に取るようにわかる。淀みなく音楽が発展し、大きくなり、音調が変わり、徐々に堅実な世界が作られていく。音の重なりが美しく、構築性が明確。

 ベートーヴェンの第4番は、第3楽章スケルツォから終楽章にかけての盛り上がりが素晴らしかった。テンポを動かすわけでも力むわけでもないのに、音楽そのものが盛り上がっていく。理詰めの音楽が論理的に高揚していく。

 ブラームスの第3番も、第1楽章冒頭の音の輝きが見事だと思った。渋みがあり、明るさがあり、深みがある。そして、この曲でも第4楽章の盛り上がりが素晴らしい。音楽が高まり高揚していくが、ブラームスが高い境地に進んでいくのを感じる。

 これまで第4楽章最後の静かな終わり方に納得がいかずにいた。ある友人が「陰々滅滅たる終わり方」という言葉を使っていたが、そうではないと思う。が、いったいあれが何なのかずっと疑問に思っていた。今日、やっとわかった。あれは「昇華」なのだ。これまでの苦悩と悲しみと喜びがすべて昇華され、高みに上っていく。その音楽だと思った。今日の演奏はまさに昇華していく音楽だった!

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コメント

樋口裕一さん、こんばんは。

僕もブラームス交響曲第3番を聴いたばかりなので、エンディングについては「円環構造」を為している。と書きましたが、「昇華」という考え方もありますね。

あれは第1楽章冒頭に繋がり「永遠の生命を意味している」とも思えました。

投稿: kum | 2020年11月11日 (水) 00時40分

kum 様
コメント、ありがとうございます。
第4楽章の最後は、確かに第1楽章の主題が現れて、初めに戻るようにして終わりますね。なるほど、円環構造を言えるかもしれません。

投稿: 樋口裕一 | 2020年11月11日 (水) 22時34分

樋口裕一さん、こんにちは。

僕は最近になって漸くブラームスの室内楽を聴き始め少しずつその良さ〈滋味〉が分かってきました。しかし、改めて交響曲を丁寧に聴くとその偉大さが分かります。僕にとっては、その作品が〈時代の最先端を行っているかどうか〉はほとんどどうでも良いことで
〈何故ならばあらゆる作品は古くなるからです。〉ブラームスが誰かに「時代遅れと馬鹿にされよう」とそれは関係ありません。

>「陰々滅滅たる終わり方」とは、少なくとも短調で終わる曲には少しは当てはまる表現ですが、失礼極まりないと僕は思います。

投稿: kum | 2020年11月12日 (木) 17時53分

kum 様
私もブラームスの室内楽作品は大好きです。とりわけ、クラリネット五重奏曲は、ほかの作曲家を含むすべての室内楽作品の中で最も好きな曲です。
なお、「陰々滅滅」という言葉を使ったのは、とても誠実で真摯な、しかも確かな耳を持つブラームス好きの友人でした。「ただ、第3番は、最後が陰々滅滅と終わるのが残念だ」という文脈だったと思います。私は、彼の耳を信じますので、その聴き方にもそれなりの理由はあるのだと思っています。

投稿: 樋口裕一 | 2020年11月14日 (土) 09時52分

樋口裕一さん。

僕の発言は樋口さんの大切なブラームスすきの

投稿: kum | 2020年11月17日 (火) 23時43分

樋口裕一さん。

僕の発言は樋口さんの大切なブラームス好きの友人に失礼なことをしてしまったようですね。

でも、クラシック音楽はもちろんジャズもロックもポップスも演歌も「短調の曲」はたくさんあるじゃないですか? それが悲しかったり、陰気に聴こえたら仕方ありません。

ところでブラームスのクラリネット五重奏曲も三重奏曲もソナタもとても素敵な曲ですね。室内楽は演奏者が少ないので、ひとり一人の比重が大きくなりますが。

投稿: kum | 2020年11月17日 (火) 23時56分

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