尾高+新日フィルの「スコットランド」 しなやかで高貴
2020年11月21日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴いた。指揮は尾高忠明。曲目は、前半にメンデルスゾーンの序曲「静かな海と楽しい航海」と、成田達輝(ヴァイオリン)、東条慧(ヴィオラ)が加わってのモーツァルトの協奏交響曲、後半にメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。とてもいい演奏だった。
尾高らしい、ピタリと腰の座った繊細でしなやかな音。ドタバタしたところがなく、ぐいぐいと音楽の本質に迫っていく。新日フィルもそれにぴたりとついて精妙な音をだす。
協奏交響曲の成田と東条も、まるでふだんから二人でコンビを組んでいるかのようにぴたりと息が合ってみごと。オーケストラとも音色がマッチして、滋味あふれる音楽になっていた。成田と東条二人とも素晴らしい演奏家だと思った。
二人のアンコールはとてもおもしろい曲だった。フックス「ヴァイオリンとヴィオラのための作品 OP60のワルツだという。楽しめた。
「スコットランド」も素晴らしかった。メンデルスゾーンらしいきびきびとして高貴な音楽のなかに人生の悲哀が混じる。私は第2楽章のしなやかな躍動感が大好きなのだが、尾高の指揮によってその躍動感を存分に味わうことができた。ただ、もしかしたら私の集中力に問題があるのかもしれないが、第3楽章あたりで私はしばらくの間、音楽の行方を見失った。構築性が弱まったのではないかと思う。だが、最終楽章は再び大きく躍動し、生気にあふれた音楽になった。
私はこの曲を聴くと、しなやかで品性の高い音楽性に心打たれる。本当に素晴らしい音楽だ。マエストロ尾高にぴったりの曲だと思った。
マエストロのコロナ禍の中でも音楽を盛り上げたいという思いを語るちょっとした挨拶があって、アンコールはモーツァルトの若書きのディベルティメント(K137より)らしい。オーケストラの生きもあって素晴らしい演奏だった。
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