尾高&東フィルの第九 第2楽章まで魂を震わせた
2020年12月18日、東京オペラシティコンサートホールで東京フィルハーモニー交響楽団のベートーヴェン「第九」特別演奏会を聴いた。指揮は尾高忠明。
第2楽章までは素晴らしいと思った。ヴァイグレ&読響の第九を聴いたばかりだが、それと比べると、もっと日本人好みとでもいうか。私が60年近く前から繰り返し聴き、感動してきた第九演奏の延長線上にあるのを感じる。勢いのある演奏で、重心が低く、鋭く切り込む。60年前から私が感動してきたところで、期待通りの感動をさせてくれる。マエストロ尾高も私と同じところで第九に感動してきたのだろうとつくづく思う。ぐいぐいと心の奥底に食い込んできた。私にとって、さほど目新しくはない解釈だが、やはり感動に身を震わせた。造りが大きく、男性的にうねる。しかも、形が崩れず、構成がしっかりしている。
ただ、第3楽章になって、オーケストラの精度が落ちてきた気がした。精妙な音の連なりにならない。天国的な響きにならない。音と音が美しく絡まって次のフレーズにつながっていかない。
第4楽章は、やや力任せのようになった。とりわけ合唱が登場してからは、ますます精度が落ちたのではないか。感染対策なのだろう、合唱団(新国立歌劇場合唱団)が間隔を取りながら2階席に陣取って、オーケストラをコの字型にとりかこむようになっていた。そうなると、私の席(1回前方)では、音がまとまらず、散漫に聞こえた。
四人の独唱者(吉田珠代・中島郁子・清水徹太郎・伊藤貴之)も、一人一人はしっかりと声を出しているのだが、四人がまとまりをもって聞こえない。ひとりひとりの独唱者も合唱の各パートもオーケストラも、ともあれ力一杯に演奏しているのだが、それがバラバラになっている気がした(もしかしたら、私の席のせいだったのかもしれない)。ただ、この曲はそれでも十分に音楽として成り立ち、祝祭的な雰囲気になる。そうやって曲は終わった。
私としては、第2楽章までは心の底から感動して聴き、第3楽章以降はハラハラして聴き、最後は腹を決めて祝祭に加わった気持ちだった。
そうはいいながら、素晴らしい箇所はいくつもある。しばしば感動し、「ベートーヴェンは凄い」としばしば思いながら聴いた。
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