オペラ彩 「カルメン」プレコンサート 来年が楽しみだ!
2020年12月19日、和光市民文化センター サンアゼリア大ホールでオペラ彩37回定期公演 オペラ「カルメン」プレコンサートを聴いた。
オペラ彩は1984設立の団体で、理事長の和田タカ子さんを中心に自主制作のグランドオペラを19年連続して上演してきた。今回は「カルメン」上演の予定だったが、コロナ禍のために断念。ダブル・キャストとして出演予定だった歌手たちが出演して、来年に延期された「カルメン」公演のための「プレ」として行われたのが、今回のコンサートだった。
私は昨年、初めてこの団体による「ナブッコ」をみて、驚嘆。とてもレベルの高い、素晴らしい上演だった。涙を流してみた。このようなレベルの高い上演を長年続けているご苦労は並大抵ではないだろうと思った。今年も楽しみにしていた。プレコンサートになったのは残念だったが、ダブル・キャストの2公演分の歌手たちを一度に聴けるのもラッキーといえばラッキーだと思って出かけた。まさに、現在第一線で活躍中のオペラ歌手たちの競演。
1席おきの座席。第一部はプッチーニ「ラ・ボエーム」より。第二部と第三部は「カルメン」からの抜粋。ピアノ伴奏による。指揮・ピアノは佐藤正浩、構成・演出は直井研二。
歌手陣は充実していた。「ラ・ボエーム」の第一幕は特に充実。ロドルフォの布施雅也、マルチェッロの原田勇雅、ショナールの井上雅人、コッリーネの佐藤泰弘、いずれも声に張りがあり、音程もしっかりしていてとてもよかった。ムゼッタの鷲尾麻衣も、ちょっと緊張の見える出だしだったが、だんだんと華やかになって、外見の美しさとともに聴きごたえがあった。
「カルメン」では、私はやはりホセを歌う樋口達哉の美声に痺れた。観客をひきつける力を持っている。カルメンを歌う二人の歌手、鳥木弥生と丹呉由利子はともに妖艶さを感じなかったが、それは演出によるのだろうか。だが、鳥木はしっかりしたフランス語で陰影のある歌を聴かせてくれた。丹呉も魅力的な歌唱だと思う。そのほか、ミカエラを歌った鷲尾麻衣、もう一人のホセ、小野弘晴もよかった。
とりわけ、樋口と鳥木による「カルメン」の最後の場面はドラマティックで聴き声堪えがあった。うーん、ただやはりオーケストラで聴きたい! ちゃんとした舞台公演として聴きたい! 二人のすばらしさを感じれば感じるほど、目の前のピアノ伴奏による抜粋では物足りなくなってくる!
今回は来年の本公演のための「予告編」だったと思うしかないだろう。予告編としては、とても豪華で見ごたえがたっぷりだった。来年を楽しみにしたい。
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