「小荘厳ミサ曲」の最後のアルト・ソロに感動した
2020年12月6日、テアトロ・ジーリオ・ショウワでロッシーニの「小荘厳ミサ曲」を聴いた。これは、ベルカントオペラフェスティバル イン ジャパンの一環として行われたコンサートで、本来はニコラ・ヴァッカイ作曲の「ジュリエッタとロメオ」が上演される予定だったのがコロナの影響で変更になったもの。素晴らしい演奏だった。
私はこれまでピアノとハルモニウムによるヴァージョンを聴いてきたが、オーケストラ版は初めて。ロッシーニ自身の編曲によるオーケストラ・ヴァージョン。かなり雰囲気が異なるので驚いた。
演奏は園田隆一郎の指揮によるテアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ、藤原歌劇団合唱部。迫田美帆(ソプラノ)、松浦麗(アルト)、澤崎一了(テノール)、小野寺光(バス)。演奏はすべてがそろっていた。オーケストラも健闘。歌手陣は全員が素晴らしい。歌手陣は合唱も含めて全員がシールドをつけていた。少し音がこもって聞こえたが、実際には舞台の最前列で歌っているのが、少し後方で歌っている感じになるくらいで、慣れればそれほどの違和感は覚えなかった。
それにしても不思議な曲だと思う。信仰心にあふれる曲想かと思うと、きわめて俗っぽくなる。聖と俗が入り混じっているとでもいうか。これが、37歳のころにオペラ作曲家を引退し、隠居して過ごしたロッシーニが70歳を過ぎた晩年の境地だったのだろうか。快楽を好み、物事をあまり深刻に考えずに楽天的に生きてきた男が老年に達し、多くの死をみて、自分の死も間近にした境地だとすると、納得できる気がする。決して重くはならない。だがしみじみとした味わいがある。肩の力を抜き、静かに人生や神を見つめている。
最後の曲「神の子羊」のアルトのソロの深い思いには揺さぶられた。ロッシーニがどのような信仰を持っていたかはよく知らないが、この曲を聴くと、その深い信仰が理解できる気がする。感動した。
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