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映画「不幸な街角」「カプリの皇帝」「懐かしの日々」「ギリシャからの帰還」

 イタリア映画の安売りDVDセットの残りをみたので、簡単に感想を記す。

 

「不幸な街角」 1948年 マリオ・カメリーニ

 失業して家族に食べさせることもできなくなった男(マッシモ・ジロッティ)が、妻(アンナ・マニャーニ)に責めたてられ、困り抜いた挙句、高級車を盗んで売ろうとする。ところが、車に乗った夫をみた妻は仕事中と勘違いして、子どもとともに車に乗り込み、行動を共にしようとする。事情を知らないで天真爛漫に振る舞う妻と、何とかごまかす夫の間であれこれのことが起こったのち、結局は妻は真相を知り、夫は後悔して車を元の場所に返し、無事、何事もなかったことになる。

 せっかちで人の良い妻をマニャーニが見事に演じ、とてもおもしろい。子供に食事を与えられなくなった夫婦の悲しみがよくわかる。根は善良だったり、気弱だったりする小悪党たちもとてもリアル。戦後のイタリアの状況も手に取るようにわかる。ただ、マッシモ・ジロッティは好きな役者だが、今回の役にはちょっとカッコよすぎる。もう少しうらぶれた雰囲気が欲しい。

 だが、ともあれ人間の善意を信じる気になり、未来に希望を抱く気になる佳作だと思う。

 

「カプリの皇帝」 1949年 ルイジ・コメンチーニ監督

 イタリアの喜劇王トト主演の喜劇。ホテルの給仕を務めるトトはインドの大富豪と間違われて歓楽の島カプリを訪れ、何人もの女性に言い寄られる。最後には正体がばれるが、大富豪の命を助けることになって、感謝される。

 とはいえ、現代の日本人の私には少しもおもしろくなく、最初から最後までクスリともしなかった。せめてもう少しセンスの良い笑いがほしい。先日、BSで放送されていたチャップリンの喜劇(もちろん、私はどの作品も数回、数十回とみている!)と大違い。トトの映画は何本かみているが、まだ本当におもしろい映画にあたっていない。

 

「懐かしの日々」 1952年 アレッサンドロ・ブラゼッティ 

 野外古書店の主人が売り物の本やら身近にあった本について語る。それらの本の内容を描く9篇から成るオムニバス映画。少年鼓手の活躍の物語や少年少女の淡い恋、不義を暴かれて自殺する人妻など様々な短い物語が描かれる。デ・シーカが弁護士の役をして、ロロブリジーダ演じる被告人を「美を閉じ込めるべきではない」という論理で弁護をする最後の話が最も充実している。

 しかし、私はどのエピソードもあまりおもしろいとは思わなかった。それぞれのエピソードが短すぎて、十分に登場人物の内面を描き切れていないのを感じる。すべてが中途半端に思える。演出やカメラワークには感心する。とりわけ最後のエピソードはデ・シーカのあまりの演技力(「チャップリンの独裁者」の最後のあの演説場面に匹敵するほどだと思う)とロロブリジーダのあまりの美しさに圧倒されるが、話自体はたいしておもしろくなかった。

 

「ギリシャからの帰還」 1942年 ロベルト・ロッセリーニ監督

 やはりロッセリーニが監督すると、ほかの映画とはまったくレベルが異なる。単に主人公(マッシモ・ジロッティ)が爆撃機に乗り込んで飛行しているだけの場面もリアリティにあふれ、緊迫感がみなぎる。一つ一つの映像に無駄がなく、登場人物に動きも理にかなっている。だから、つい食い入るように映像を見てしまう。

 ただ、この映画がおもしろいかといわれると、それほどでもなかった。主人公は爆撃機でギリシャを攻撃しているうちに、迎撃されて捕虜になり、捕虜仲間と交流し、最後には脱走して敵機を奪って祖国に戻る。私の教養不足のために、第二次大戦期のギリシャの状況があまり頭に入っておらず、人々の行動がぴんとこないせいもあるが、あまり主人公に感情移入ができない。結局、単に主人公の行動を追いかけただけで終わっただけの映画に思えた。

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