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ヴェルディのオペラ映像「トロヴァトーレ」「椿姫」「シチリア島の夕べの祈り」「仮面舞踏会」

 私は高齢者なので、医療関係者の後にワクチンを打てってもらえるはずだが、高齢者の中では私はまだひよっこの部類なので、はたしていつになるか。接種が終わったら、ヨーロッパやら東南アジアやらチベットやらに行くぞ!とゆめみつつ、「トゥット・ヴェルディ」に含まれたヴェルディのオペラ映像をみた。簡単な感想を記す。

 

「トロヴァトーレ」2010年 パルマ・レッジョ劇場

 ヴェルディのオペラを初期からみつづけていると、やはり音楽的には、「リゴレット」「トロヴァトーレ」あたりからとびぬけた傑作になっていくのがよくわかる。「トロヴァトーレ」はこれだけ荒唐無稽で愚かしいストーリーなのだが、それでもみるに堪えるというのは、音楽のとてつもない力のおかげというしかない。

 歌手陣の中で名前を知っているのはマンリーコを歌うマルセロ・アルヴァレスだけだが、ほかの歌手たちも含めて実に充実している。ただやはりアルヴァレスは勢いのある輝かしい声で図抜けている。レオノーラのテレーザ・ロマーノは若くて粗削りだが、馬力があってとてもいい。ちょっと太めだが、容姿も素晴らしい。この映像は2010年のものだが、この後、どうなったのだろう。これほどの実力であれば、頭角を現していると思うのだが、ネット上に記載がない。

 ルーナ伯爵のクラウディオ・スグーラ、アズチェーナのムジア・ニオラージェ、フェランドのデヤン・ヴァチュコフもとてもいい。それぞれの役を最高度に再現している。

 指揮者はユーリ・テミルカーノフ。びしりと決まってドラマティックな演奏。テミルカーノフらしい。演出はロレンツォ・マリアーニ。特に強い印象は受けなかった。

 

「椿姫」 2007年 パルマ・レッジョ劇場

 中学生のころからドイツ系のオペラにばかりなじんでいた私が、唯一、同じころから大好きでレコードを繰り返し聴いていたイタリア・オペラが「椿姫」。そのためか、このオペラについてはどうしても少々、厳しくなる。

 ユーリ・テミルカーノフの指揮はかなり緻密。しかし、歌手陣はかなりアバウトというか、少々雑な気がする。ヴィオレッタのスヴェトラ・ヴァシレヴァは、かなりアクの強い歌いっぷり。圧倒的な目力(メヂカラ)とともに私は歌の個性にも息苦しさを感じてしまう。アルフレードのマッシモ・ジョルダーノは声量はあるが、まさに粗い。ジョルジョ・ジェルモンのウラディーミル・ストヤノフは豊かな声だが、私には父親的に包容力を感じなかった。

 ウルゼル・ヘルマンによる演出もきわめて標準的に思えた。

 

「シチリア島の夕べの祈り」2010年 パルマ・レッジョ劇場

 モンフォルテを歌うのはレオ・ヌッチ。さすがというしかない。どんな役を歌っても、見事な歌と癖のある演技でみる者を引き込む。エレナのダニエラ・デッシも見事。声も美しく、演技も気品にあふれている。だが、私がもっと惹かれたのは、アリーゴを歌うファビオ・アルミリアートだ。声そのものに気品があり伸びがある。姿かたちも実にこの役にぴったり。この歌手、名前は前から知っていたが、今回、初めて聴いたような気がする。プロチダを歌うジャコモ・プレスティアもとてもいい。

 ただ、マッシモ・ザネッティの指揮にどうも乗り切れなかった。歌手陣の頑張りがあるのだから、もっと大きく盛り上がってよいと思うのだが、そうならなかった。演出はピエール・ルイージ・ピッツィ。簡素だが、私としては特に不満はない。

 

「仮面舞踏会」 2011年 パルマ・レッジョ劇場

 リッカルドのフランチェスコ・メーリの気品のあるのびやかな美声がやはり圧倒的に素晴らしい。この役にぴったり。レナートのウラディーミル・ストヤノフもそれに匹敵するほどの伸びのある声で復讐を歌う。アメーリアを歌うのはアフリカ系のクリスティン・ルイス。かなり個性的な声であり、やや粗削りなところは感じるが、高音は本当に美しい。オスカルのセレーナ・ガンベローニも独特の存在感を示している。ただ、ウルリカのエリザベッタ・フィオリッロは声が伸びず、おどろおどろしさが表現されていない。

 指揮はジャンルイージ・ジェルメッティ。きびきびしていてとてもいい。マッシモ・ガスパロンの演出(ただ、ピエルルイージ・サマリターニの原案によるとされている)も、仮面舞踏会の場面など、不気味で華やかでとてもいい。

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