METライブビューイング 「セヴィリャの理髪師」 圧倒的名演!
METライブビューイング「セヴィリャの理髪師」をみた。2007年3月24日に上演されたもの。リバイバル上映だが、私がこれをみるのは初めてだと思う。圧倒された。私の好きなオペラなのでかなりの枚数のDVDやBDをみてきたが、これは圧倒的に素晴らしい。
まずは指揮のマウリツィオ・ベニーニが素晴らしい。序曲も実にしなやかで躍動感がある。しかも、きちんと序曲としての役割をわきまえて、燃焼しすぎることもない。
主役格の人々の歌と演技もすべてが最高。ペーター・マッテイのふてぶてしいまでに自信たっぷりのフィガロは、まさにこの人にしかできない。舞台全体を回すだけの風格がある。声の張りももちろん素晴らしい。フアン・ディエゴ・フローレスのアルマヴィーヴァ伯爵も声の輝きに圧倒される。なんという華やかな声であることか。聴くものをワクワクさせる力を持っている。そして、ロジーナのジョイス・ディドナートも最高に美しい声と最高のテクニック。そして、おきゃんなこの役を見事に美しく演じる。この三人に関してはこれ以上考えられないほどのキャストだと思う。
そして、もちろんバルトロのジョン・デル・カルロも声のテクニック、そして憎たらしくもユーモアにあふれた演技は魅力的だ。また、ドン・バジーリオのジョン・レリエがまたいい。若い歌手だが、この役にふさわしい太い声でエキセントリックに演じる。すべての歌にワクワクし、そのテクニックに驚嘆し、音楽の楽しさ、美しさを堪能する。
そのほか、脇役、黙役に至るまで、実に見事。特に目新しい解釈があるわけではないが、おもしろく、楽しく、すべての役者の動きが自然でユーモラス。これらは演出のバートレット・シャーの功績だろう。
こんな楽しいオペラがあるんだ! こんな名演があるんだ! と改めて思い、メトロポリタン・オペラのレベルの高さに目を見張った。
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