鈴木秀美&神フィル ドヴォルザーク第8番に感動
2021年8月3日、ミューザ川崎シンフォニーホールでサマーフェスタミューザの一環としての神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会を聴いた。指揮は鈴木秀美。曲目は前半にドヴォルザークの序曲と「謝肉祭」、郷古廉が加わってのシューマンのヴァイオリン協奏曲、後半にドヴォルザークの交響曲第8番。とても良い演奏だった。
鈴木秀美の指揮は明快で引き締まっていてダイナミック。しかも、十分に叙情的で美しい。「謝肉祭」はダイナミックな音響で祝祭感覚いっぱいに鳴らす。神奈川フィルも一昔前とうってかわって、とても洗練された音になっているのでびっくり。
ただ、私はシューマンのヴァイオリン協奏曲については、実はちょっと退屈に感じた。この曲を説得力のある音楽にするには、この狂気じみた雰囲気を感じさせないようにうまく整合性をとるか、あるいは逆にいっそのこといびつな世界を最大限に表現するかのどちらかだと思う。ところが、郷古のヴァイオリンはとてもまじめでしっかりと音楽をとらえているのだが、そうであるがゆえに整合性をとることもなく、狂気を全開にすることもなく、結局真面目なアプローチで終わった気がした。
後半のドヴォルザークの交響曲第8番は素晴らしいと思った。この曲はややもすると統一が取れなくなってしまうと思うのだが、鈴木の演奏ではそのようなことはまったく感じなかった。美しいメロディが続出するが、それがうまく重なり合って一つの楽曲をなしていく。木管楽器もさることながら、トランペットがとても鮮烈に響いて、しなやかな歌を織りなしていた。見事。まさにツボを得た演奏。
このところ、鈴木秀美の指揮を聴くごとに感動する。今ころになってこのようなことを言うのも僭越だが、実に素晴らしい指揮者になったものだ。
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