トリオ・アコード 「幽霊」とメンデルスゾーンのトリオ第1番に感動
2021年10月28日、浜離宮朝日ホールで、「トリオ・アコード 浜離宮ランチタイムコンサート」を聴いた。
トリオ・アコードは、ソリストとしても活躍している白井圭(ヴァイオリン)、門脇大樹(チェロ)、津田裕也(ピアノ)が結成した団体。曲目は、前半に、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番「幽霊」と武満徹の「ビトゥイーン・タイズ」、そして後半にメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。
私がこの団体を初めて聴いたのは、昨年の東京・春・音楽祭での3日間にわたるベートーヴェンのピアノ三重奏曲全曲演奏だった。コロナ禍でほとんどのコンサートが中止になる中でおそるおそる開かれ、初日こそ安全運転の演奏だったが、徐々に本領を発揮して、3日目は素晴らしい演奏だったのを覚えている。
今回は、最初の「幽霊」から素晴らしかった。くっきりとした輪郭で明瞭に歌うトリオだと思う。日本の室内楽の団体は、妙に遠慮して合わせるだけに聞こえることが多いが、この三人はそうではない。ヴァイオリンの白井はおそらくかなりアグレッシブ。ピアノの津田はまろやかな音で、あまり前面に出ないようでありながら、しっかりと全体をまとめている。チェロはふくよかに包み込む。この三つの音が絡み合って、自然体でありながらも、時に激しく音楽の芯に肉薄し、きわめて理にかなった音楽を作り上げていく。情緒に流れることなく、深く高揚する。音楽が理にかなっているのでどの楽章も徐々に盛り上がっていく。素晴らしい。
前半の2曲もよかったが、私はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番に最も感銘を受けた。メンデルスゾーンらしい美しくてのびやかなメロディ、構成感もしっかりしている。そのなかに、時折激しい感情が沸き起こってくる。そのようなメンデルスゾーンの世界を、誇張することなく、くっきりとみずみずしく、どこまでも自然に描き出していた。わざとらしさがまったくなく、自然なロマンティックな感情が高まっていく。見事だと思う。私はとても感動した。
ぜひ、このトリオを続けていってほしいものだ。
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