園田&日フィル ロッシーニ「スターバト・マーテル」 マスクなしならどんなにすごかったことか!
2021年10月3日、東京芸術劇場で日本フィルハーモニー交響楽団芸劇シリーズを聴いた。曲目は前半にモーツァルトの交響曲第40番、後半にロッシーの「スターバト・マーテル」。とても良い演奏だった。
モーツァルトの交響曲については、私は第2楽章だけ、少しもたつき気味ではないかと思った。少し音楽が停滞しているのを感じた。だが、それ以外は、楽器がとても美しく重なり合い、しっかりと音楽が進み、音楽そのものの開館を堪能できた。とりわけ終楽章が素晴らしかった。ただ、もしかしたら指揮者の解釈かもしれないが、「悲しみ」はあまり強調されていないように思った。まさに純音楽。音楽そのものが美しく、人間感情といった余計なものは入り込んでいないように思えた。
「スターバト・マーテル」も素晴らしい演奏。ただ、合唱(日本フィルハーモニー協会合唱団)もソリスト(髙橋絵理、中島郁子、清水徹太郎、伊藤貴之)も最初から最後までマスクを着けたままだった。間違いなくすばらしい歌唱なのだが、やはりマスクがあると声がこもってしまう。やむを得なくこうしているのだろうが、あまりに残念。
とはいえ、独唱陣は素晴らしかった。全員が張りのある美声で正確に歌った。中でも私はソプラノの髙橋絵理にほれぼれした。十分に世界に通用する声だと思う。声自体美しいし、声に伸びがある。もとてもよかった。
園田隆一郎の指揮も見事。張りがあり、盛り上がりがあり、メリハリがあり、しかもしっかりと信仰心の震えのようなものも感じる。
そうであるがゆえにいっそうマスクが残念。マスクなしで聴きたかった!
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