ファウスト バッハ無伴奏全曲演奏初日 無限の中の自由な精神の広がり
2021年11月17日、東京オペラシティ・コンサートホールでイザベル・ファウストのバッハ、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ・パルティータ全曲演奏の初日を聴いた。曲目はソナタ第1番とパルティータ第1番、そしてソナタ第3番。ストラディバリのバロックボウを使っての演奏だという。3曲が休憩なしで演奏された。
初めのうちは、かすかだが、指がもつれる感じがあった。そのせいで音楽が縮こまって、少し停滞気味だったと思う。ファウストほどの人でもこのようなことがあるということだろう。だが、ソナタ第1番の第3楽章あたりから本領発揮。
あえて音楽を小さく作っているように思えた。もっとスケール大きく弾くことができるだろうに、そうしない。音の色彩感を重視して繊細に弾く。大きな音を出すわけではない。音を大きく伸ばしたりもしない。どこかを強調したりもしない。むしろ、小刻みに音を作り出し、静かな音色を重ねていく。音はどこまでも美しく、しっかりしたテクニックに支えられて、まったく音が濁らない。がむしゃら音楽ではなく、解放された精神をもって自由に遊んでいる雰囲気がある。そうして作られてゆく音楽は決してスケールが小さくはない。むしろ必然的にスケールが大きくなり、夢幻の宇宙に広がっていく。まさしく無限の中の自由な精神の広がりになる。
とても感動したのだったが、実をいうと、私はもっと感動するつもりで出かけたのだった。爆発的な感動は覚えなかった。以前きいたファウストの無伴奏バッハはもっとすごかった気がする。本日も残りの曲が演奏される。本日はもっと感動させてもらえるに違いない。
なお、昨日のうちにこの投稿もアップしたかったが、ココログのメンテナンス中とのことで遅くなった。
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