メイエ&カルテット・アマービレ 2つのクラリネット五重奏曲
2021年11月25日、東京オペラシティ・コンサートホールで、ポール・メイエ&カルテット・アマービレのコンサートを聴いた。曲目は前半にモーツァルトのクラリネット五重奏曲、後半にブラームスのクラリネット五重奏曲。ともに私の大好きな曲。楽しみにして出かけた。
モーツァルトが始まったとき、冒頭の柔らかい音に惹かれた。繊細に、しなやかに音楽を進めていく。メイエのクラリネットも実に高貴にして繊細。長調でありながらどこか物悲しい晩年のモーツァルト独特の美しいメロディが続く。うっとりして聴いたが、ただ聴き進めるうち、カルテット・アマービレがあまりに遠慮しすぎているようなのを感じた。メイエ先生が名人芸を披露し、ほかの若い生徒たちが先生の機嫌を損ねないようにおとなしく演奏する・・・とまでいうといいすぎだろうが、なんだかそんな雰囲気があった。クラリネットは素晴らしい。美しい音、モーツァルトの心の襞が聞き取れるかのよう。弦楽器もとても美しい。音程がいいし、アンサンブルも美しい。ただ、曲のせいかもしれないが、クラリネットばかりが目立っている。ちょっと前半の時点では、それが気になった。
が、後半のブラームスになるとそのような雰囲気は感じなかった。カルテットも十分に豊かな表現を行い、メイエとがっぷり四つに組んだ感じだった。若いカルテット一人一人ではメイエに太刀打ちできないかもしれないが、四人が組めばメイエだって怖くない。素晴らしい演奏だと思った。
私はブラームスのクラリネット五重奏曲の第2楽章が大好きだ。魂のいななきとでもいうか、そんなものを感じる。孤独な魂が一人ぽつんと野原に出て星空をみながら自分の人生を振り返る。亡くした人、失った愛、傷つけてしまった人を思い出す。そして、周囲に誰もいないのを確認して思い切り魂の哀しみを叫ぶ。魂が動物のように思い切りいななく。いななくクラリネットと抑制しつつそれを支える弦楽器。
メイエのクラリネットはどこまでも高貴で、いななくといってもそこには気品がある。四台の弦楽器も高貴で美しい。だが、若い奏者の演奏の中にも、そのような人生の深みを感じ取ることができた。
モーツァルトとブラームスのクラリネット五重増曲をこれほどの演奏で聴けて実に満足。日本の若い演奏家たちは実に頼もしい。
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