フォーレ四重奏団のフォーレとブラームス 密度の濃い音での強い感情を歌う
2021年12月9日、トッパンホールでフォーレ四重奏団演奏会を聴いた。曲目は前半にフォーレの歌曲「ゆりかご」「われらの愛」「月の光」のピアノ四重奏ヴァージョン、そして、フォーレのピアノ四重奏曲第2番、後半にブラームスのピアノ四重奏曲第3番。素晴らしい演奏だった。興奮した。
単に「合わせる」室内楽ではなく、丁々発止に攻め合い、表現しあう室内楽。室内楽はこうでなくっちゃ。強い音で4つの楽器が混じり合い、重なり合い、絡み合い、奏で合う。音の密度が濃く、聴く者の魂を揺さぶる。高貴で抑制的で、いかにもフランス的な優雅さのあるフォーレの心の奥底に強い感情が楽器から浮かび上がってうねっていく。ブラームスのほうは、いかにもブラームスらしい抑制されたロマンティックな感情が湧き上がってくる。チェロを除いて、全員が立って演奏する。そのためもあるのかもしれない。全身での演奏になり、表現が強まる。フォーレもブラームスも、本当に素晴らしい。音楽とともに魂が揺れ動くのを感じた。
私は日本の室内楽団の演奏を聴くと、しばしばあまりに合わせようという意識が強いことに不満を覚える。自分を抑えて相手に会わせようとして、結局、合わせるだけの自己主張のない音楽になる。日本人の特性として語られていることが音楽にも表れる。その点、やはり西洋の室内楽団は強い表現をおこなうところが多い。まさにこのフォーレ四重奏団がそうだ。メンバーのそれぞれの自己主張が絡み合って一つの大きな世界を作る。その醍醐味を感じる。
大喝采に答えてのアンコールはシューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調の第3楽章とフォーレの歌曲「マンドリン」と「夢の後に」のピアノ四重奏ヴァージョン。いずれもしみじみと美しく、密度の濃い音楽になっていた。幸せな気持ちになった。
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