ノット&オピッツ&東響 ブラームスの協奏曲第2番 まさに本格派!
2021年12月5日、ューザ川崎シンフォニーホールで東京交響楽団の演奏会を聴いた。指揮はジョナサン・ノット。曲目は、前半にゲルハルト・オピッツが加わってブラームスのピアノ協奏曲第2番、後半にルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲。
チケットを購入した時点では、ピアノはニコラ・アンゲリッシュの予定だった。アンゲリッシュが来日できなくなって、代わりに演奏することになったのがオピッツだった。
私はピアノ独奏曲をほとんど聴かないため、ピアニストに関心を持つことはまずない。だが、30年近く前だったと思うが、だれだったかのヴァイオリンを聴きにゆき、ヴァイオリン以上に伴奏者のピアノに感動したことがあった。それがオピッツだった。どっしりと安定した、いかにもドイツ的なピアノは素晴らしいと思った。
久しぶりにオピッツを聴いたが、やはり実に安定した音。重心の低い味わい深い渋い音。横で力いっぱい押しても微動だにしないような安定。まったくリズムが崩れない。小細工もない。正攻法でがっちりと弾く。ただ、独特の解釈なのだろう、ところどころ今まで私の聴いたことのないような力点の置き方がなされる。しかし、それによって新鮮な音楽にはなるが、もちろん安定した世界が揺らぐことはない。これがオピッツの持ち味だろう。まさに本格派。
それに対して、ノットの指揮はとても色彩的でしなやか。かなり対照的な音楽づくりと言えるかもしれない。しかし、むしろそれがうまく合致して、素晴らしい音楽になっていく。なるほど、これがブラームスの世界だとつくづく思う。
ただ、ちょっとだけ告白すると、素晴らしい!と思いつつも、オピッツほどにテンポを動かさずに安定して演奏されると、ちょっと退屈するのも事実だ。この本格的演奏に退屈してしまう自分のほうが修行不足だろうと思いながらも、ほんの少しでいいから観客サービスをしてほしいなと思ってしまう。
だが、ともあれまさにドイツ音楽の正統を行く見事な演奏だった。
後半のルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲については、まさにタイトル通り、「オーケストラの皆さんこそが主役です!」というモットーとでもいうべき演奏。すべての楽器を存分に吹かせ、弾かせて、すべての楽器を主人公にする。音の交通整理をするノットの手際の良さたるや凄まじい。おそらく、全員が気持ちよく演奏しているのだと思う。だが、それぞれの楽器が見事にアンサンブルをなし、全楽器の爆音であっても透明感をもって鳴り響く。ヌケがよく、爽快な音が響き渡る。民族色も心地よい。私はこの曲をけっして名曲だとは思わないが、ともあれこのような演奏で聴くと、圧倒され、終わった後に喝采を叫びたくなる。
とても充実したコンサートだった。
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