反田恭平「ポーランド幻想曲」 強靭で柔らかく躍動感にあふれたピアノ
2022年1月15日、東京芸術劇場でNHK交響楽団定期公演を聴いた。指揮は原田慶太楼、曲目は、前半にショパン(グラズノフ編)の「軍隊ポロネーズ」(管弦楽版)、ショパン(ストラヴィンスキー編)「夜想曲」変イ長調 作品32-2(管弦楽版)、そして反田恭平のピアノが加わってパデレフスキのポーランド幻想曲、後半にストラヴィンスキー「火の鳥」(1910年版)。
実は私好みの曲が1曲もない。なぜ、このチケットを購入したのか、今となっては定かでないのだが、ショパン・コンクール第2位の反田恭平が聴けるとあって、楽しみにして出かけた。
初めの2曲は、私がショパン好きでないためもあって、あまりおもしろいとは思わなかった。オーケストラ版で聴くと、ドニゼッティやベッリーニを思わせるような曲想だと思った。原田の指揮も威勢よくやるだけで、ニュアンスが伝わらないような気がした。大味の単純化された音楽になってしまっているのを感じた。
反田が加わってのポーランド幻想曲は、やはり反田のピアノの威力に圧倒された。曲としては、あまりおもしろいと思わなかったが、一つ一つの強靭で柔らかく、しかも時に華麗。音の粒立ちがよく、躍動感にあふれている。ピアノのアンコールはショパンのマズルカ作品56の第1とのこと。
後半の「火の鳥」はとてもよかった。原田の指揮は、前半はニュアンスに欠ける気がしたが、後半はオーケストラをうまく整理し、音の爆発を作りだし、ニュアンスの変化も見事に作りだしていた。N響メンバーも色彩的で勢いのある音を出していた。この指揮者、20世紀の音楽を得意としているのだろう。
とはいえ、繰り返すが、私の好きな曲ではないので、あまり突っ込んだことは言えない。ともあれ、反田恭平のピアノを聴くことができたのはうれしかった。
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