伊藤亮太郎と名手たちの「浄夜」に感動!
2022年1月9日、ヤマハホールで「珠玉のリサイタル&室内楽 伊藤亮太郎と名手たちによる弦楽アンサンブル」を聴いた。曲目は前半に、伊藤亮太郎(ヴァイオリン)、柳瀬省太(ヴィオラ)、横坂(チェロ)によるフランセの弦楽三重奏曲と、伊藤亮太郎・横溝耕一(ヴァイオリン)、柳瀬省太(ヴィオラ)、横坂源、辻本玲(チェロ)によるグラズノフの弦楽五重奏曲、後半は、ヴィオラの大島亮が加わって、マルティヌーの弦楽六重奏曲とシェーンベルクの「浄められた夜」。私がこの六人の演奏を聴くのは二度目。前回同様、今回も素晴らしかった。
実は、「浄められた夜」以外は、今回初めて聴く。だが、どの曲もとてもおもしろかった。
フランセの曲は軽妙。フランス的なエスプリにあふれていて、プーランクの軽めの曲を思わせる。グラズノフの曲はロシア的なメロディが印象的。グラズノフという作曲家については、もちろん名前だけはよく知っているが、実はほとんど音楽を聴いたことがない。とてもいい曲だと思った。マルティヌーの曲もまさしく名曲だと思った。躍動感があり、音楽が極めて論理的に、しかしスリリングに展開していく。マルティヌーも実は私にはほとんど無知な作曲家なのだが、これから少し聴いてみたい気になった。
演奏は本当に素晴らしい。最近ではすべて男性の室内アンサンブルは珍しいが、それが見事にプラ氏に働いている。これぞ男のリリシズム。深い思いが音にこもっている。
しかし、やはり圧巻は「浄められた夜」だった。官能が渦巻く。一つ一つの楽器の音が濃い。黒光りしているような印象を持った。緊密なアンサンブルだが、常設の団体ではないせいだろう、それぞれの奏者が別の個性を持っているので、完璧なアンサンブルというわけではない。だが、それがプラスになっているのを感じる。別々の個性の人間たちがたまたま思いを一つにして、音楽の情念に身をゆだねているのがよくわかる。官能がほとばしり、悲しみや祈りが駆け巡り、魂が浄化されていく。だんだんだんだんとすべての楽器の魂が一つになって高まっていく。私は何度も感動に身を震わせた。
アンコールはダンディの弦楽六重奏曲の第2楽章だとのこと。少し軽妙な雰囲気。これも素晴らしかった。
この六人の演奏をこれからもぜひ続けてほしいものだ。
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