島方瞭のイザイの「バラード」は圧巻だった
2022年3月12日、浜離宮朝日ホールで、「反田恭平プロデュース JNO Presents リサイタルシリーズ ヴァイオリン 島方瞭の世界」を聴いた。演奏は、島方瞭(ヴァイオリン)と三又瑛子(ピアノ)。実はこの二人の演奏家についてはまったく知らなかった。反田恭平プロデュースに惹かれてチケットを購入。
曲目は、前半に、ラヴェルの「ハバネラ形式の小品」、ショーソン「詩曲」、プーランクのヴァイオリン・ソナタ、後半に、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」とブラームスのヴィオラ・ソナタ第2番(クラリネット・ソナタのヴィオラ版)。
ヴァイオリンは若々しくて力み気味の演奏。力任せのようなところがある。そのため、少し一本調子になる。しかし、力任せがプラスになることもある。ショーソンの詩曲は強い力で心の奥の思いを絞り出す。プーランクも強く躍動する。フランスふうのニュアンスや洒落っ気はあまりないので、その点で物足りないとは思うが、それを補って余りあるほどに直線的な強さがある。ぐいぐい押してくる。それが心地よい。
ピアノの三又瑛子もかなり強い音でヴァイオリンを支える。いや、時に、強くリードしているように思えた。芯の強い音で、色彩感もあってとてもよかった。
イザイの無伴奏ソナタは圧巻だった。ひとりの世界をしっかりと作りだし、強い音で魂の叫びともいうべき音楽を紡ぎだした。スケールが大きく、巨大な世界が背後に見える気がした。
ブラームスのソナタも期待したのだったが、ちょっと気負いすぎたのか、ブラームスを前に委縮した感があった。生真面目に弾きすぎて、いざいで聴かせてくれた思い切りの良さが薄れていた。
とはいえ、私はこの若いヴァイオリニストの世界をとても楽しんだ。頼もしい存在だと思った。ピアノもとてもよかった。このような人がどしどし出てきて、反田恭平が語るとおり、日本に音楽の都を作って世界の音楽のメッカにしてほしい。今日聴いて、それは遠い未来の夢物語ではないと思った。
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