ヤノフスキ&N響 「運命」 感動で身体が震えた
2022年5月8日、オーチャードホールでNHK交響楽団オーチャード定期を聴いた。指揮はマレク・ヤノフスキ。曲目は、すべてベートーヴェン。前半に「エグモント」序曲と交響曲 第1番 、後半に第5番 「運命」。
ヤノフスキらしい、びしりと決まった音。「エグモント」序曲も、引き締まった音でドラマティックに展開されていく。N響の音程がいつも以上によいと思うのだが、それはヤノフスキの指示のせいなのだろうか。まったく無駄がなく、誇張もない。それでいながら、最後には最高度に高揚する。
交響曲第1番も同じような演奏。ハイドンの延長線上にあることがとてもよくわかる曲だが、演奏も、そのような雰囲気。のちのベートーヴェンらしさを強調するのでなく、誇張なく明確に演奏された。とても良い演奏だとは思ったが、やはり、あまりおもしろい曲ではないなあ・・・というのが正直な感想。
第5番(運命)は、素晴らしかった。小気味よいほどに音と音が見事に重なり合い、ぐんぐんと推進されていく。まったく停滞しない。N響メンバーもさすがと言うべきか、機敏に反応していく。ヤノフスキの指揮ぶりに慣れてきたということなのかもしれない。第3楽章の終わりの部分の弦のピチカートのあたりから第4楽章に移る部分の緊張感はすさまじかった。第4楽章の高揚も素晴らしい。ほかの指揮者だと、あまりにしつこくてもたれ気味になることの多い第4楽章後半が、ヤノフスキの手にかかると、ぐいぐいと高揚されていって、まったくもたれない。感動した。身体が感動で震えた。
ただ、最後の部分でピッコロが聞きなれているのとはちょっと違う音を出している気がした。気のせいだっただろうか。帰ってスコアを探したが、音楽的才能の皆無な私は、記憶が薄れてしまって、確かめられなかった。
アンコールはベートーヴェンの交響曲第8番第2楽章。高揚した「運命」をクールダウンするかのように、静かに、冷静に。しかし、端正で繊細で芯の強い音でありながら、軽みさえある。至高の音楽だと思った。これにも感動した。
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