ひばり弦楽四重奏団 ベートーヴェンの第7番に感動
2022年6月29日、Hakuju Hallでひばり弦楽四重奏団のベートーヴェン全曲演奏の第5回を聴いた。曲目は前半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番とショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番、後半のベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番(ラズモフスキー第1番)。
ひばり弦楽四重奏団は漆原啓子・漆原朝子・大島亮・辻本玲から成る四重奏団。私はこのメンバーのそれぞれのコンサートはたびたび聴いているが、ひばり弦楽四重奏団として聴くのは初めて。
第1番については、まだ少しこの団体特有の表現になっていない気がした。何をしたいのか、何を言いたいのか、私には伝わってこなかった。四人が何となく様子をうかがっている雰囲気。ショスタコーヴィチについても同じ印象を抱いた。もちろん、難があるわけではない。アンサンブルはきれいだし、一人一人の力量も確か。しかし、とりわけ第1楽章の独特の雰囲気が醸し出されない。第2楽章以降は強い感情が表出されるが、それもどのような感情なのか、私には合点がいかなかった。前半については、心から感動することはできなかった。
が、後半は素晴らしかった。言葉にするのは難しいが、4人で共通の世界を作ろうとしているのがよくわかった。この曲特有の、のびやかでスケールの大きな音楽が広まった。辻本さんによるチェロの出だしのメロディの歌わせ方が素晴らしく、それに乗って全曲がうまく流れた気がした。第4楽章の高揚も素晴らしかった。四人の心が合致すると、素晴らしい音楽になる。豊かな音が広がり、強い意志の音が響き渡る。忙しいメンバーなので、なかなか時間が合わずに、もしかしたら、前半の2曲についてはリハーサル不足のままだったのではないかと思った。
アンコールはベートーヴェンの弦楽四重奏曲第5番の第2楽章メヌエット。とても良い演奏だった。様々なコンサートに引っ張りだこのメンバーなので、なかなかひばり弦楽四重奏団として活動するのは難しいと思うが、ぜひとももっとしばしばコンサートを開いてほしいと思った。
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