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サリナス&TOKI弦楽四重奏団のモーツァルトとウェーバーのクラリネット五重奏曲

 202286日、東京文化会館小ホールでTOKI弦楽四重奏団演奏会を聴いた。この団体は新潟にゆかりのあるメンバーで結成されたもので、TOKIというのは、新潟にゆかりの鳥、朱鷺にちなんでつけられたとのこと。私は新潟とは何の関係もないが、ヴィオラの鈴木康浩さん(ただ、残念ながら、体調不良のため、今回は出演せず、宇野秀一氏に変更された)を何度か聴くうち、この団体を知って、聴いてみたいと思ったのだった。しかも、今回は私の大好きなモーツァルトのクラリネット五重奏曲が演奏される!

 曲目は、前半にクラリネットのダヴィッド・サリナスが加わってのモーツァルトの五重奏曲のほか、トゥリーナの弦楽四重奏曲第1番「ギター風に」、後半に新潟の作曲家、後藤丹の委嘱作品、弦楽四重奏曲「朱鷺は輝く大地に」とウェーバーのクラリネット五重奏曲。

 モーツァルトの五重奏曲は、初めのうちは、十分に楽器が温まらないというのか、すこしぎこちないところがあったが、だんだんと音楽が流れ出した。岩谷祐之の第一ヴァイオリンの音がとても美しい。サリナスのクラリネットは、モーツァルトにしてはちょっと高揚しすぎな感じがしないでもなかった。ロマン派の曲のように盛り上がっていく。サリナスはスペインの演奏家だという。ちょっとスペイン的盛り上がりと言えるのかもしれない。それはそれで感動的なのだが、私の思っているこの曲とは少し違っていた。とはいえ、全体的には、しっかりと地に足の着いた良い演奏だった。

 トゥリーナはスペインの作曲家。チェロの上森祥平のトークで、フランコ政権に協力したために、戦後、この作曲家は演奏されることが少なかったことが伝えられた。だが、とてもきれいな曲だと思った。第3楽章の舞曲風の盛り上がりは素晴らしい。スペインの作曲家で、「ギター風に」というタイトルがつけられているが、あまりスペイン的なイントネーションは感じなかった。上森さんの言っていた通り、ラヴェル風の感じだった。

 後半の後藤丹の新作もわかりやすい曲だった。ただ、私には、どのように朱鷺が飛んでいるのかイメージできなかった。

 ウェーバーは素晴らしかった。サリナスというクラリネット奏者は、モーツァルトよりもウェーバーの方が合っていると思う。切れの良い躍動感ある音で起伏大きく歌いまわる。ドイツ臭さはなく、いかにもラテン的だが、しかし、洗練されすぎず、自由に駆け巡っている。とても楽しく聴けた。

 アンコールは、ハンガリーのクラリネット奏者兼作曲家ベーラ・コヴァーチのクラリネット五重奏による小曲らしい(サリナスの英語での紹介があり、ヴァイオリンの平山真紀子が日本語で解説してくれたが、曲名は聞き逃した)。とても楽しかった。まさにハンガリアン・ダンス風の音楽。

 とても充実したコンサートだった。

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