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笹沼&上田のシュトラウスのソナタに感動

 2022930日、HAKUJUホールで、笹沼樹(チェロ)・上田晴子(ピアノ)のデュオリサイタルを聴いた。曲目は、前半にグラズノフの「吟遊詩人の歌」、ラフマニノフの「2つの小品」作品2、プロコフィエフのバレエ組曲「シンデレラ」より「アダージョ」、プロコフィエフのチェロとピアノのためのソナタ ハ長調 op.119、後半にブラームスの晩年の歌曲2曲とリヒャルト・シュトラウスのチェロとピアノのためのソナタ ヘ長調。

 前半のロシア、ウクライナの音楽については、私の守備範囲ではないので、批評家めいたことは何も言えないが、笹沼の歌心が伝わる演奏だったと思う。過度にロマンティックにならないのがいい。素直に歌い上げる。技巧的な部分も、歌心があるので、とても自然だと思う。上田のピアノも芯が強く、輝きがあってとても魅力的だ。プロコフィエフのソナタについては、天衣無縫という感じが出ていて、とてもおもしろかった。プロコフィエフはおもしろい!

 後半のシュトラウスはとりわけ素晴らしかった。若々しいシュトラウス。生命力にあふれ、意欲にあふれた作品だ。派手好きでちょっとこけおどし的な面があるのは、いかにもこの作曲家らしい。しかし、若々しいエネルギーにあふれているので、少しも嫌味ではない。それを笹沼と上田は真正面から描いていく。感動的なまでにまっすぐな高揚だと思う。衒いもなしに若い心をそのままぶつけている感じ。そこに好感が持てる。

 私は中学生のころから、つまり55年以上前からのシュトラウス好きなので、ひいき目かもしれないが、この若書きのチェロ・ソナタも素晴らしい名曲だと思った。こんなに素直に躍動感にあふれた若い心を描く音楽はほかにないではない。今日のような演奏で聴くと、とりわけそう思う。

 アンコール3曲。1曲目はシュトラウスの歌曲(たぶん「夜」?)。ほかの2曲は知らない曲。でも、とてもよかった。

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