東響のブラームス二重協奏曲 郷古のヴァイオリンにほれぼれ
2022年11月5日、東京オペラシティ・コンサートホールで東京交響楽団の公演を聴いた。指揮はユベール・スダーン。曲目は、前半にメンデルスゾーンの「静かな海と楽しい航海」、郷古廉のヴァイオリン、岡本侑也のチェロが加わってブラームスの二重協奏曲、後半はシューマンの交響曲第3番「ライン」。
私は2階の隅っこの方で聴いたのだが、席のせいなのか、音がすこし濁って聞こえた。しかも、メンデルスゾーンはこの曲特有の切れがよくて豊饒で高貴な音楽が聞こえてこなかった。もたもたした感じとでもいうか。少し残念。
ブラームスの二重協奏曲は、それに比べるとずっとよかった。まず、郷古のヴァイオリンが実に美しい。凛としてのびやかで端正で知的。ほれぼれする。岡本のチェロも郷古のヴァイロンをしなやかに支えた。オーケストラもメンデルスゾーンの時よりもずっとバランスよく聞こえた。ただ、オーケストラの弦の厚みやうねりが十分に伝わってこなかった。これももしかしたら席のせいかもしれない。スダーンの指揮はきわめてオーソドックスに思える。全体的にあまり過剰にならずに、しかもここぞというところで盛り上げていく。
ソリストのアンコールは知らない曲だったが、のちにネットで調べた。マルティヌーの二重奏曲第2番の第2楽章だとのこと。ヴァイオリンとチェロの微妙な重なりを楽しむ音楽だと思う。見事だった。
後半の「ライン」の演奏は素晴らしかった。とりわけ第2楽章の流動性は見事だった。まさに田舎の舞曲のよう。ひなびた雰囲気があり、ちょっと粗雑でもあって、それがとても魅力的な味わいを出していた。フィナーレもとても勢いがあって、生きる喜びにあふれていた。
ただ、とても良い演奏だとは思いつつ、シューマンのオーケストレーションが異様なまでにモノフォニックなことが気になっていた。せっかくオーケストラで演奏しているのに、シューマンの交響曲は口ずさむことができる。ベートーヴェンやブラームスは主旋律を口ずさむことはできても、様々な楽器が別のメロディを演奏するので、全体を歌うことはできない。だが、シューマンはすべての楽器が一つの旋律を追いかけている。そうすると、私はかなり狭苦しさを覚えてしまう。薄っぺらに感じる。
そんなわけで、とても良い演奏だと思いながらも、やっぱり私はシューマンは好きになれないなあと思っていたのだった。
今回の私の目当ては、前半のブラームスの二重協奏曲だった。大感動とまではいかなかったが、とても良い演奏だった。それだけでも満足。
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