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ネトピル&読響 しっかりした質感のスケールの大きな「新世界」!

 20221126日、東京芸術劇場で読売日本交響楽団の土曜マチネーシリーズを聴いた。指揮はトマーシュ・ネトピル、曲目は、前半に、マルティヌーの歌劇「ジュリエッタ」から3つの断章と、ヴァイオリンの岡本誠司がくわわってモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」、後半にドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」。

「チェコの俊英」といううたい文句に惹かれてネトピルを聴いてみたいと思ってチケットを購入、あとで調べたら、私はこれまで実演は新国立劇場の「さまよえるオランダ人」、映像ではウィーン国立歌劇場の「魔弾の射手」を聴いていた。よく覚えていないのだが、私はブログに「緩慢」などと言って、かなり批判している。そんなわけで、あまり期待しないで聴いた。が、思いのほかよかった。それどころか、素晴らしかった。

 マルティヌーの曲では、これまでこの指揮者を聴いて思った通り、「緩慢」と思った。楽器はよく鳴らしている。広がりのある音。ダイナミックにもしているし、繊細でもある。だが、きりっとしない。悪い予感が当たるのかな?と思った。

 モーツァルトについては、岡本誠司のヴァイオリンの音色に惹かれた。しなやかで繊細。ロマンティックでリリシズムにあふれている。コンサート・ミストレスの日下さんと二重奏のような掛け合いも息がぴったり合って見事。とても親密で、心の襞に深く入り込むような美しい演奏だった。ネトピルの指揮もそれに生き生きと合わせて、とても良かった。

 ヴァイオリンのアンコールはバッハの無伴奏パルティータのメヌエット。これも心にしみる繊細な音楽。静かにやさしく心の奥に迫っていく。

 そして、後半の「新世界」。これは見事だった。私が以前、「緩慢」と思っていた指揮ぶりは、むしろスケールが大きいということなのだと合点がいった。ちょっとまのびした感じが確かにする。しかし、それは、せせこましくない。ゆったりしているということだ。そう、まるで東ヨーロッパのなだらかな田園地帯のようだ。以前、エリシュカの指揮するドヴォルザークを聴いた時のような、ある種の民族色を感じるのは気のせいではあるまい。ちょっとひなびた、しかし、広がりのある質感にあふれた世界が繰り広げられる。高揚していく部分も、自然に説得力を持ってスケール大きくなっていく。しっかりと構築され、ドヴォルザークらしい美しい旋律と心の奥にしみる哀愁を重ねながら、大きく高揚していく。なかなかここまでのしっかりした手ごたえのある「新世界」を聴くことはできないと思った。大いに感動した。

 ネトピルという指揮者のこれからが楽しみだ。

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