佐藤俊介&鈴木秀美&チャイのブラームスの三重奏曲 親密な味わい
2022年11月21日、浜離宮朝日ホールで佐藤俊介・鈴木秀美・スーアン・チャイのコンサートを聴いた。ガット弦とフォルテピアノによる演奏。曲目は前半に佐藤(ヴァイオリン)とチャイ(フォルテピアノ)によるシューマンの幻想小曲集と鈴木(チェロ)が加わっての三人によるブラームスのピアノ三重奏曲第2番、後半にブラームスのピアノ三重奏曲第1番。
うーむ古楽のブラームスは一味違う!と最初の音で思った。弦楽器の音程がかなり甘い。そうであるがゆえに、親密な味わいが生まれる。人間的というか、温かみがあるというか。肩を寄せ合って家族で演奏しているような雰囲気になる。それはそれでとてもいい感じなのだが、やはり鋭さや激しい情熱は薄れる。そして、やはり音量が小さく、後ろの方の私の席では音が物足りない。
前半はかなり違和感を覚えた。それはそれでいいのだが、やっぱりブラームスは現代楽器の方がいいよな、と思った。ロマンティックな流動性が古楽器では出せない。かさかさした感じになってしまう。後半に入ってからは、私の耳が慣れたのか、かなりおもしろく聴けた。第1番の三重奏曲のジプシー的な情熱が、少し柔らかみを帯びてほのかに広がっていった。ただ、繰り返すが、それでもやはりブラームスは現代楽器のほうがいい。ベートーヴェンとはそのあたりが少し違うような気がする。
アンコールはブラームスのピアノ三重奏曲第3番の第3楽章。これもとても親密で家庭的な演奏。とてもいい雰囲気。この楽章はこれでいい。とてもよかった。
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