新国立「ボリス」を見て、とても良かったが、頭が混乱!
2022年11月17日、新国立劇場で「ボリス・ゴドゥノフ」をみた。見終わって、私は頭が大混乱。
なぜ大混乱かというと、私の知っている「ボリス・ゴドゥノフ」とあまりに違うから。ヴァージョンの違いとマリウシュ・トレリンスキによる演出の読み替えによって、まったく別の話になっていた!
ともかく、皇太子フョードルが重度の障碍者ということになっており、聖愚者(しばしば白痴とも呼ばれる)が出てこない。出てこないというか、皇太子と聖愚者が同一人物として扱われている。ポーランド貴族の女性マリーナも登場しない。ボリスが皇太子を殺す! 最後、偽ドミートリーがボリスを殺す!
私は、ムソルグスキーについても、「ボリス・ゴドゥノフ」についても、それほど詳しくない。だから、ヴァージョンの違いについてよく知らない。だから、批評めいたことは何も言えない。ただただ途方に暮れただけ。演出家の意図がどれほど原作に近いのか、独創的な解釈なのか、それとも途方もない唯我独尊演出なのか判断のしようがない。いや、そもそもみているうち、自分の知っているこのオペラの筋書きすら自信がなくなってきた。そして、このオペラのテーマが何なのかについても、わけがわからなくなった。
ともあれ、勉強不足というしかない。本来なら、あれこれと調べたり、手持ちの映像やCDを見たりしたいが、明日の朝、早いのでそんな時間がない。
演奏については素晴らしかった。ムソルグスキーの音楽としては洗練されすぎていると思ったが、それにしてもしなやかで深みのある美しい音を大野和士の指揮は東京都交響楽団から引き出していた。歌手陣も見事。ボリスのギド・イェンティンス、シュイスキー公の アーノルド・ベズイエン、ピーメンのゴデルジ・ジャネリーゼの外国人はいずれも見事な声による歌唱だった。そして、それにまったく劣らず素晴らしかったのが、グリゴリーを歌った工藤和真だ。これほどの歌手が日本にいたなんて!
そのほか、クセニアの九嶋香奈枝、 ヴァルラームの河野鉄平、女主人の清水華澄もとてもよかった。
ともかく、今日の演出は宿題として、これから考えてみようと思う。今日は風呂に入ってそろそろ寝ることにする。
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